第十四話 ササキサン

「いやいや、佐々木?知らない名ですねぇ。私は木下ですけれども…」

「なんだい、佐々木さんもなっちゃんの知り合いなのかい」

「あ、はい」

他人のフリ、3秒で終了。


他人のフリが終了するや否や、佐々木教授の熱烈なアイコンタクトがナツキに向けられる。

(私と君の関係性は黙っておいてくれ。成績に関しては少し緩くするから)

(お、やった。マジですか?)

(うん、マジマジ)


「ササキサン、キョウハノミカイデスカ?」


下手ーーーー!

誤魔化の仕方が下手ーーーー!

下手っていうか何か不自然ーーー!


「アア、ソウダヨ。イヤー、キグウダネェ」


あんたもかーーーー!


「おお!んじゃ、一緒にご飯でもどうですか?そちらの3人の方も良かったら」

「そうですか?じゃあお言葉に甘えて」

「ですね。良いですよね?ハルさん」

「あ、はい。それじゃあお言葉に甘えて」


なんやかんやあって魔法少女2人とその相棒2体と教授と競艇場のお客さんの何とも不思議な飲み会に一瞬で変わった。


「そしたら今日の所は僕がまとめて払うからなっちゃんもそこのお嬢ちゃんも遠慮しないで食べて飲んでな!」

「え、いや、そんな悪いですよ…」

「良いのよ。今日はこの人だいぶ勝ったんだから。それに若い人はそんな遠慮しなくてもいいの。私たちが好きでやってるんだからね」


ここで断るのも失礼に当たるしここは更にお言葉に甘えよう。


「じゃあとりあえず女将さん、中生8杯ね!」

「なんだいあんたたち知り合いだったのかい?そしたら飲み物持ってくるまでに机くっつけときなよ。ほら、佐々木さんと清ちゃんがそっちの角持って、こっちは若い兄ちゃんたちで持って」


なんということでしょう。

あっという間に大所帯の飲み会に変貌したではありませんか。


「はい!中生8杯ね!」

「お!ありがとう!」


みんなの前に生ビールが並べられる。


「それじゃあ、僭越ながら」

と、清ちゃんがグラスを持って立ち上がる。


「今日はお疲れ様でした!」





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まじっく☆ぶれいく shi @shi-nandayo

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