第二話 魔法少女って歳じゃないんですけど!

「うわぁ!!」

 気がつくと保健室だった。

 どうやらいつの間にか気を失ったかなんかでここに連れられてきていたらしい。

 なんか変な夢を見ていたような…


「なんだろう…なんか変な生き物が夢の中で……」

「変な生き物て失礼なやつだな」

「ん?」


 誰だ。私の他に保健室にいるのは。

 声の発信源を探そうと顔を90度回したところで、昨日の変な生き物がいた。


「よ」


「き」

 頭が現状を理解する前に、この私の目の前で起きている特異な現状を踏まえた上で

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 生まれて初めてってワードが当てはまるくらいとんでもない声が出た。


「お、おまおま、おまえ」

「お、おまおま、おまえって名前じゃないぞ」

 変な生き物は私が寝ているベッドに飛び乗ってくると

「まー、あれだな。その感じだと見えてるってことだな」

「は?」

「詳しい話は後でするとして、とりあえず今日から魔法少女としてよろしくな。じゃ、行くか」

「は?」


 ちょっと待て、頭が追いつかない。話を整理できない。

 魔法少女?私が?大学生ぞ?


「私、魔法少女って歳じゃないんですけど!」

「そう言われてもなぁ…。見えてるんだろ?俺のこと」

「見えてますけど…」

「見えてるやつは基本的には魔法少女になってもらうようにはなってるからなぁ」

「基本的にはってことはならない方法もあるの?」

「いやまー、あるにはあるんだが…」

 変な生き物は歯切れが悪そうに

「方法自体は記憶を消せばいい。この姿を見られたまま記憶を残しておくのはリスクだからな。ただ」

「ただ?」

「30%くらいで記憶の消去が失敗する」

「失敗すると?」

「死ぬ」

「私、魔法少女になる」


 流石に死ぬリスクがそんなに高いんなら魔法少女になりますとも。ええ。

「じゃ、話は早いわ。詳しい話は場所変えてやろうか」


 なんか無理矢理な感じもするけど魔法少女になるみたいです。私。

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