夕坂秋海の日常 3

10.




(姉、小火ってたな



 銃声が響く中、ポンッと目についたコメントが一つ



「「姉、小火ってたな」

 ああぁ~~、設定(笑)って言うなって小火っ燃えてたな。小火だったけど、マジ草。あんときゃ、随分笑ったわww。一日中笑いが止まらんかった。いや~、愉快愉快」



 まぁ、言うてそんな設定(笑)を言いまくっていたかは知らんが、真実とか俺にとっちゃマジでどうでもいい

 大事なのはあいつが初炎上を起こしたという事実そのもの。あの小火荒れコメ欄を思い出すだけで口角が痛くなるし、見たら派手に腹がよじれる自信がある。よし、これで俺onlyだったときの屈辱的な記憶をアイツにも植え付け&仕返ししてやったぜ!どうだ!!



「今更、設定とかどうでもいいんだけどさ、オレって結構設定に忠実だと思うんだけど、どうよ」



(どうよ?とは

(どうって普通

(まぁ、ほどほどに忠実なんじゃね

(ていうか、サンライは基本、設定がライバーの素だから

(設定(笑)というほどでもないよな

(半分捏造だから

(縁故採用ってキレてる奴が引き起こしたんだろ

(知らんけど

(別に良いだろ



「‥‥‥」



 縁故採用、ねぇ

 正直、贔屓が無いと言ったら嘘になるけど、普通俺の姉だからって即所属ライバーにするわけがない。あいつが正式にライバーデビューしたのはちゃんと訳があって…というか、社長に認められて、ファンが付いて、「夕坂冬火」を求める人が大勢いたからだ

 あいつは「姉」「姉」言うな、私はお前の付属品じゃねえんだよってちょっとお怒りみたいだけどよ、逆ににどんな呼称なら良いんだよ。お前こそ、意外とまんざらでもねえくせに



「――マ、言わせとけばいーんだよ

 所詮小火程度だったみたいだし、それも数日ぐらい前だろ?もう鎮火寸前じゃん。再炎上なったら、流石におやっさんが出張って来るかも知んねえけど

 あと、愚姉も意外と喜んでるかもしんねーし?いいじゃーん、炎上商法出来て。キリッキリ胃痛めってかもだけど」



(うわー

(うわ、最低

(お前が燃やしにかかってんじゃん

(お前が火種か

(お前のせいで勘違いした奴が燃やしに行くんじゃねーか

(姉、かわいそ

(姉に感謝の気持ちはないのかー

(尚、秋海も昔姉に似たようなことを言われた模様

(うわー再び

(俺たちには理解できない夕坂姉弟の愛情証明



「うえぇー‥‥気持ち悪いこと言わないで…?


 はい、この話終わり終わり~~。オレが気持ち悪くて吐いちゃうから終了~」



(きも

(そこまで?

(極端すぎだろ

(素直で草

(吐くな



「つーことで、もう少しで一時間になるのでオレから二つお知らせでーす」



(なになに

(いきなりすぎて草

(脈絡ゼロ

(一時間はしっかり計ってんのね



「まず一つ目、はい、ドーン

 オレ等の新しいファミリーを募集しまーす

 募集要項はリンクから飛んでチェックしてね~。姉の先日の心の叫びにより、女性が受かりやすくなってるかも~??

 たくさんのご応募お待ちしてまーす」



(お

(お

(お

(おお~

(周期早くね?

(姉が異例デビューしたからそう見えるだけ

(応募すりゅ

(無理ゲーでは?

(男だとは言ってないだろ!!



「はい、二つ目ぇ‥‥

 数日後に奏山宙先輩と俺と愚姉とでコラボを予定してます。カオスになること必至でーす。ついでに姉の俺以外との初コラボでーす。大いに笑ってやってねー」



(‥‥‥

(‥‥‥

(‥‥‥



「おい、コメ欄黙るな

 さっきから一致団結すな


 ……ったく。察知するのが早えなぁ」



(健闘を祈る

(最高&悪のお知らせ

(褒めてる?



「褒めてる褒めてる。ほいじゃ、マ、俺の検討だけ祈っててくれ。おやす~」



(お ま え だ け か よ

(姉の分は?

(勉強ちゃんとしろよ

 :

 :

――配信が終了しました――

 






*******


やっべ。まじやっべ

つい今日、宣伝文が大真面目に誤字ってることに気づきました

もうちょっと早く気づきたかったぁー……

すぐ、即直します!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Vな姉弟 潮見おかゆ @leshiyu1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ