第83話 金曜日

金曜日の放課後は、4人で集まることができた。


悠里と彩奈、そして部活が終わった剛士と拓真は、互いの学校への道を分ける、いつもの交差点に集合した。



「やっほー、月曜日ぶりだね!」

拓真が大袈裟に手を振り、悪戯っぽく微笑んだ。

「最近、ずっと女子だけでデートしてて、オレたち寂しかったよ?」

な、ゴウ?と拓真が剛士を見やる。


剛士が応える前に、彩奈が笑いながら言った。

「悠里を独り占めしちゃって、すいませんねえ、シバさん!」

彩奈の言葉に、剛士が小さく吹き出した。


そうして、ぽん、と悠里の頭に手を乗せる。

「たまには貸せよ?」


冗談めかした返答と、それとは裏腹な手の温もりに、悠里の頬は熱くなった。

「あはは、最近シバさんが素直で何より」

と彩奈は満足そうに頷いた。



少しお喋りをしようと、4人連れ立って、駅前のカフェに向かう。


道すがら、隣りを歩く剛士に、そっと尋ねられる。

「……悠里。何か、眠そうだな?」

「えっ?」


慌てて悠里は背筋を伸ばす。

「そ、そんなことないよ?大丈夫!」

「そうか? なら、いいんだけど」


少し心配そうに、顔を覗き込んでくる剛士。

悠里は意識して、大きめの微笑みを浮かべてみせた。



昨夜、悠里は夢中になってネックウォーマーを編んだ。


無事に納得のいくものができたが、ラッピングなど諸々の準備をして、結局夜中の2時近くまでかかってしまった。

連日のクッキーの試作も相まって、寝不足は否めない。


――心配かけちゃダメ。

せっかくのサプライズなんだから。


悠里は、ぎゅっと強く瞬きをし、眠気を押し込んだ。

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