第18話 警

深夜の2時頃、私は残業でパソコンで納期に追われていた仕事にかかっていました。


他の誰もいない事務所内は、鎮まりかえっていたので、ラジオをつけることにしたのです。


チャンネルを明るめの音楽に切り替えては仕事に没頭してました。


2時半を過ぎた頃、見回りの警備員がドアをノックして挨拶をしてきました。


「おつかれさまです。」笑顔で接してくれる(仮)圭介さんが手に残業と聞いてか

コンビニで弁当を買ってきてくれてました。


「よかったら、どうぞ!」


「どうも!でも悪いですよ。お金払っておきますよ」と私は財布を出してお金を返そうとしたのですが


「いえいえ。大丈夫ですよ。いつも頑張ってくれてるから」気のきいた警備員さんだなとその時は思いました。


ただ、一つ気になってたことが。


「いつも?」心の中で思っていました。


今日、初めての残業なのに、なぜいつも残業してる風に言ってくるのだろう・・と思いました。


「では、頑張っって!」と言い残して圭介さんは去っていきました。


ラジオの途中で、ニュースの時間になると今日の出来事を聞いていたのです。

その中で「○○証券の屋上から飛び降り自殺」と聞いてびっくりしたのです。


「え!。ここじゃん」


「亡くなった(仮)松山圭介33歳は、病院に運ばれて死亡がわかりました」とラジオで言っていました。



そうなんです。さっきの警備員はすでに1日前に亡くなっていたのです。


後から上司に聞いた話なんですが、その警備員は、コンビニ途中で誰かに追い立てられて精神的に追い詰められていたそうです。


ただ、昨日見た弁当の中身が気持ち悪かった。

飛び出た肉片と目玉と生身の血の匂いが漂っていたのです。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る