第3話 廃

 この話は、大学の頃の知り合いが話してくれた体験談です。


大学のサークルで知り合ったAさんとサークルのメンバーで飲みに行った時に盛り上がって、怖い話をしていました。

 飲み屋から出るとAさんがノリに酔ったいきおいもあって

「今から心霊スポットいく人ーーー!!」と言いました。

 怖いもの好き3人でいくことにしたのです。


 そのスポットとはここからでもそんなに遠くない場所にありました。


「○○○廃病院」


 携帯で調べてくれたBさんの指示で車で行くと田舎に近い為、山間に位置するところにありました。

 病院が閉鎖になったのも10年は立っていて、原因は飛び降りが絶えなかった理由もあったらしく、そのうち人が寄り付かなくなり赤字で閉鎖になったという記事をCさんが見てくれていました。


 もう誰も使っていない駐車場には、古びた車が一つだけ存在していました。


 ライトを照らして、3階建の病院へと1階から3階まで見てまわっても特にこれといった現象も起きることなく1階まで降っていくことにしました。


 こんなものかーなんて思い、車へと乗り込み、運転しようとした時でした。


「ギュッ!!ギュー!!」


 タイヤがなにかを踏みつけるような音を立てたのです。


 Aさんが運転席から降りると、確認をしたのです。

 タイヤの下には猫が横たわり、タイヤに轢かれてしまってました。


「マジかよー。車の下にいるとは知らなかったよ。」


 それを見ていたBさんとCさんも

「不吉な予感する」

 と言いました。

 するとどこからか人の声が聞こえてきたのです。


「おーーい!」


 その声は太く男性の声のようでした。


どこから聞こえてるんだろう。

3人揃って周りをライトで探してみました。


その時また


「おーい!」

聞こえた先を見たのです。


そこには病院の3階中央部分に人影がいるのに気付きました。


もしかしたら助けを求めているのかもしれない、そんな思いにかられBさんも返答をしてみたのです。


「大丈夫ですかあー!!怪我とかしてますかあ」


「・・・・・」

なにも返事は戻って来なかったのです。


「そこ、いますよねー。3階まで行きましょうか?」


「・・・・」

人影の存在はあるものやはり返事はありません。


するとCさんは


「やっぱり辞めよう!危険なような気がする」


車で引き変えそうとしました。


ドアを閉めようとした時。

またあの声が


「おーい!」

人影は手を振りながら同じことを何度も繰り返しました。


 早くこの病院から逃げたいと必死にBさんが運転をして山里を抜けると、市街の灯が見えてきました。


三人ともコンビニまで来ると街灯で気持ちが楽になっていました。


車を止め、少し休憩をとることにしたのです。


「やばかったな。あの病院。それに轢いちゃった猫。黒猫だよ。マジで縁起が悪いよ。」と助手席に座っていたAさんが言いました。


後ろにいたCさんは、Bさんが震えていることに気付きました。


「どうしたの?体調悪い?」


Bさんはガタガタ震えた身体で

「おまえら、見えなかったのかよ・・・」


「なにが?」

AさんとCさんも気付いていませんでした。


「街まで向かうまで、ついてきたんだよ。あの人影が・・・」


話を整理すると病院を出て山を降っていく途中のミラー下に黒い人影がずっと立ちすくんで手を振っていたことに。

それは何度も何度もすれ違うミラーの下にいたことを。


それからはBさんとは連絡が来なくなり音信不通になったそうです。


あの一件以来、ふと思い出すことがありました。

あの声は呼んでいたのではなく呼ばれていたのでは、それに答えたBさんは呪いにかけられたのではないかと。


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