2学期
2学期が始まった。
学校へ行くと冷たい視線が俺を待っていた。当然のことだろう俺の横には学校では妻である沙織さん、そして、夏休み前から俺の婚約者と言っていたペイペイちゃんと学校を2分する美少女がいるのだから、更に、理奈さんまで俺の近くにいるというカオスな世界に男子生徒諸君の視線は当然のごとく冷たいのであった。
佐久間も本田も俺から離れて行った。
いわゆるボッチになってしまった。
しかし、唯一の違いは俺の横には沙織さんたちがいたことであった。そんな状態で迎えた新学期に事件は起こった。
「立原、音楽室に来いって、先生が呼んでいたぞ!!」
そんな声がクラスのどこからともなく聞こえてきたのだ。するといつも話してきたことのない横溝君が俺に話しかけてきた。
「立原、なんか先生が音楽室へ来るようにって」
「わかったよ」
不思議なことはわかっていたが、とりあえず、音楽室に行くことになった。この学校は3つの校舎が漢数字の三のように並んでいて、南から南棟、中棟、北棟と呼ばれている。音楽室など特別室がある校舎は南棟の3階にあるのだ。だから俺は、2階の通路を渡って、音楽室を目指した。当然、特別室がある南棟にはいると生徒はほとんどいない。特に新学期が始まった今日は授業もないのでいるはずもない。しかし、そこには、なぜか2人の女子学生がいた。そして、すれ違った瞬間、
「うぁああ!」
一人の女子生徒が俺の顔に手で何かを塗ったのだった。
「目が・・・目が・・・」
う・・・しみる~!!!
目を押させてうずくまる俺、いきなり何が起きたのか、わからないのだが、目の上にも何か虫に刺された時に使うかゆみ止めのような液体を塗られ、顔中がスースーとしている。
その影響で俺はしばらく目を開けることすらできないでいた。
「め…目が…」
近くの水道まで言って目の周りを水で流したがこの行動がまずかった。
「ひぃいいいい!!しみるーーー!!」
流そうとしたことがかえって目に沁み込んでくる結果となった。
こうして、しばらく、その場でうずくまっていると中々帰ってこないことを心配した沙織さんとペイペイちゃんが発見し保健室へ連れて行ってくれたのだった。
そして、この日、サオカイダーから犯行声明があったとか…
なんて日だ…
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