夏祭り
「さおりん…占いって信じる?」
「里奈…どうしたのよ。急にそんなことを」
「最近、よく当たる占い師がいるって」
「それ?本当?」
「本当よ」
というわけで沙織さんと里奈さんと亜里沙さん、そして、ペイペイちゃんの4人で行ったようだった。そして、沙織さんはその結果に激怒し、ペイペイちゃんは落ち込み、里奈さんは喜び、亜里沙さんも目を輝かせていたと聞いている。それぞれの占い結果は全く知らないのだが、そのせいかもしれない。沙織さんの俺への愛情がさらに強くなった気がする。反面、最近、ペイペイちゃんが消極的になっている。それは、沙織さんが積極的になっていることに対して、少し諦めているのかもしれないと最近思うようになってきた。そんなある日だった。この町の夏祭りが開催されることになっている。当然、沙織さんは俺と行くと言って、ペイペイちゃんと紗耶香ちゃんの意見すら聞かなくなっている。しかし、ここは3人で行くことになった。それを渋々沙織さんが聞き入れたのだった。
こうして美少女3人が一緒に並んで歩いていると周りの視線はすごいことになっていた。更にそこに亜里沙さんと里奈さんがいるものだから、俺たちの周りには人だかりができていた。そんな時だった。祭りの見物客でにぎわっている中、沙織さんが俺の手をつかんだ。
「今よ!!」
すると俺は、沙織さんとは反対側へ引っ張られて行ってしまったのだった。みんなから引き離された俺の横には、なぜか里奈さんがいて、俺の手を握っていた。
「あれ?めぐみ君だったのこの手」
「たぶん?」
俺自身誰かに手を引かれてきたのだから間違いない。けど、なぜ里奈さんが俺の手を引いたのかはよくわからない。
「ひと夏の恋…か…これって運命かも」
何やらぼそりとつぶやいた里奈さんはほほ笑んで
「めぐみ君、運命って信じる?」
「運命?なにそれ?」
「あ…いや…別に」
そう言って俺に抱き着いてきた。
「里奈さん…いきなり、どうしたんです」
いきなりハグされた俺は直立不動で固まってしまっていたのだった。
いきなりハグされている俺は、直立不動のままだった。丁度その頃、沙織さんは
「なんでペイペイちゃんがきているの?」
「何言っているのよ。沙織が私の手を引っ張ったのよ」
「じゃぁ…めぐみ君は?」
「さぁ?」
2人は話をしながら元の位置へ向かって行ったのだった。
一方、紗耶香ちゃんは、一人呆然としていると本田と佐久間がやってきて
「みんなは?」
「さぁ?」
そして、亜里沙は、引っ張っていた相手を見て驚いた
「お嬢ちゃん!!やめてくれ…こんな年寄りに何の用があるんだ?」
見ず知らずのおじいさんの手をつかんでいたのだった。
「ごめんなさい!!」
そして、俺はというと未だに里奈さんに抱きしめられている。
「里奈さん・・・?」
「めぐみ君が・・・私の運命の人だなんて」
「いったい何を?」
すると彼女はようやく俺を解放してくれたかと思うと、頬に両手を添えて、キスをしてきたのだった。そして、ちょうどその頃俺たちを探していたみんながその光景を見てしまっていたのだった。
!!!
「「「なにやっているのよ!!」」」
里奈さんの唇が離れたが、感触はまだ残っていた。キスを終えた恋人達のトキメキタイムに入ろうとした瞬間、俺たちの耳に入ってきた。沙織さん、ペイペイちゃん、沙也加ちゃんの叫び声、更に次の瞬間!!
三人は俺たちのの間に割って入ってきて、佐久間と本田はおれを確保、沙織さん達は里奈さんを確保していた。そして、修羅場が始まったのだった。
「里奈!!どういうつもり?」
「私の勝手でしょ」
そう言い残して里奈さんは、その場から離れて行った。彼女がなぜこんな行動をしたのかはよくわからなかったんだど、みんなの視線が俺に突き刺さっている。完全に俺は悪者になっているのだ。
「めぐみ君…どういうこと?」
「あ…里奈さん手を引っ張られて…」
「なんでキスまでするのよ!!」
「あれは…いきなりしてきて、不意を突かれたんだ」
「「「ふーん」」」
すると佐久間が
「貴様!!沙織さんがいながら里奈さんまで手を出すのか」
そう叫んで
「見損なったぞ!!」
バキ!!!
突然のパンチによろめいていると本田も同じように
「めぐみ!!本当に見損なったわ」
そんな捨てセリフをはいて、その場から去っていったのだった。こうして楽しいはずの夏祭りはお通夜のような暗さのまま終わったのであった。
最悪の出来事に俺たちは、花火を見ることもなく家路に着いた。
ちーん
お通夜行のようにみんなの気持ちは沈んでいる。それは当然のことで、原因は全て俺にある。黙って俯いている沙織さんとそれを心配している沙也加ちゃんに、ペイペイちゃんはというと何事もなかったかのように歩いている。すると
「もー!!我慢できない!!いい加減してよ!いつまで落ち込んでるつもるり?」
しかし、落ち込んだままの沙織さんは
「そっとしといてよ!」
するとペイペイちゃんは、フンと鼻を鳴らしたかと思うと俺へ近づいた
「だいたい、めぐみ君が無防備すぎるから悪いのよ。ほら」
「「「!!!」」」
いきなり俺の頬をがっしりとつかんでキスしてきた。キスを終えると沙織さんの方を向いて
「これで私も里奈と同じよね。キスしていないのは沙織だけよね」
そんな徴発を受けた沙織さんは
「何やっているのよ!!」
「!!」
いきなり俺にキスをしてきたのだった。
「やればできるじゃない!!」
挑発的な態度をとっていたペイペイちゃんも負けじと俺を沙織さんから引き離し抱き着いてきた。それに負けじと沙織さんも
「負けないわよ」
抱き着いてきた。すると、ペイペイちゃんが
「沙織!!今日はここまでにするけど、今度そんな態度をとったら、めぐみ君は私がもらうから」
「そんなことはさせないわ」
沙織さんの表情を見て納得したような笑みを浮かべたペイペイちゃん
「さてと…家に帰ったら花火しない?今日、花火見れなかったから」
どこまで話が飛ぶの?と突っ込みたかった。しかし、それには沙織さん、紗耶香ちゃんも大賛成のようだった。家に着くと
パンパン
パン!!
爆竹が猛烈な勢いで鳴り響いた。そして、にこやかな笑顔のペイペイちゃんは
「はい」
そう言って、俺に火のついた花火を渡してきた。
シュー
って?これ打ち上げ花火だ
「えええーーーー」
普通手渡しされるはずのない打ち上げ花火。それをどうしていいのかわからずに硬直していると手元で破裂した
ばん!!
「うあぁあああ」
「きゃははは」
「なにやっているのよ」
パニックになって固まっている俺を見てみんな大笑いをしていたのだった・
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