気が付くと

気が付くとそこは病院だった・・・


先生曰く


「若いのに、自殺なんかしたらだめだよ」


どうやら俺は自殺をしたということでここに担ぎ込まれたようだ。理由は、オヤジの死といろいろな環境変化に耐えられなかった。って紗耶香ちゃんに首を絞められたんだけど、本人はかなり反省しているらしく、ベッドで眠ってる間、俺の横を離れなかったと後から聞いた。


「めぐみさん・・・大丈夫?」


「大丈夫・・・」


「念の為、退院は明日ですので」


こうして、俺は病院の個室で一晩を過ごすことになるんだけど、当然、紗耶香ちゃんだけでなく、沙織さんとペイペイちゃんのいる。結局3人はここで泊まると言っているのだが、大丈夫だからと家に帰したのだった。久しぶりの一人の時間、俺は、これまでを振り返っていたのだった。そこへオヤジがやってきたのだった。


「大丈夫か?めぐみ」


「ああ・・」


「そっか・・・ならいい・・・で?どうするんだ?」


「どうって・・・俺は誰も選べないよ」


「お前らしい」


そう言って、珍しくオヤジはリンゴを剥いてくれている


「どこが」


「お前は昔からそうだった。優しすぎるんだよ」


って?目の前でりんごを剥き終えるとぱくりと食っている。シャクシャクシャクとリンゴを噛んでいる音が聞こえる中


「お前の素直な気持ちを打ち明ければいいんじゃないか?」


「素直な気持ちって」


「じゃないとみんなが不幸になるぞ」


「じゃぁ・・・オヤジはどうなんだよ!!沙織さんを置いて」


「沙織にはすまないことをしたと思っている。けど、本当はお前と結婚させようとしたんだけどな・・・一途な彼女は俺を選んでしまった。ただ、それだけのことだ。けど、彼女の心にはもう俺はいない」


オヤジはリンゴを食べ終えると俺を指さした。


「わかっているだろうな?」


俺の顔を見て頭を小突いてきた。


「イテ!!」


「この鈍感!!」


「なにすんだよ!!」


「沙織はお前のことが好きになっている。これ以上彼女を苦しめるな。これが言いたかったことだ」


そんな言葉を残したかと思うとオヤジはちゃっかりとメロンをもって病室を出て行ったのであった。


「あいつめ・・・」





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