第14話 「フルボッコ」
後ろは壁
前は堀川を中心に親衛隊の奴らがずらりと立っている。中には、”沙織命”と書いたハチマキまでしている輩まで、ここは、クラブハウスの裏側、いわゆる学内でリンチもどきを行うときによく使われる場所だ。そんな場所で親衛隊の連中に囲まれている。
絶体絶命のピンチとはこのこと
しかし、俺達がいる小春高校は、中途半端な進学校、なので中途半端に成績が良かったや奴らが集まっている。中には有名大学に行く奴もいるが、半分は就職組。しかも、大手企業か公務員とお堅いことを考えている連中だから、
いくら堀川が喧嘩に強いといってもしれている。だから、俺もここまでやってきたんだけど、ざっと20人くらいはいる。これは予想外だった。
堀川はガタイがいい、身長は185cm以上ある。そんな奴に制服の襟元を引っ張られて
「貴様!!沙織様と付き合っているのか?」
「いえ…」
素直に答えると腹にどすんと鈍い痛みが走った。
「うぐ・・」
膝蹴りを入れられて腹を抱えてその場に蹲っていると襟元を掴んで起こされた。
「おっと、まだ寝てもらうには早いんだけど」
ぐいっと引っ張り上げられた上に両手を二人に抑えられてしまった。
「もう一度聞く、沙織様と付き合っているのか?」
「付き合ってません」
どす…
「うぐ」
また、腹かよ
「顔を殴ると見つかった時にやばいからな。だか、こうすんだよ」
どす
「うぐ」
また、腹を蹴られた。そろそろ限界だ。
「おっと、ここで、宣言してもらおうか」
「だから、俺は付き合ってな…うぐ」
また、腹を蹴り上げてきた
「何も、そんなこと宣言してくれとは言ってない」
「じゃ…なんだ」
「沙織様の前で『二度と近づきません』と言ってくれたらいいんだよ」
少なくともそんなことを言えるはずもない。絶対不可能なことだ。しかし、親衛隊の奴らは「いいぞ」「やれやれ」とか言っているのだが、軟弱な奴らだから絶対に手を出さない。
「そ…そんなこと言えるわけないだろ!!」
「言えって言ってんだ…」
何度も蹴り上げられて、徐々に薄れゆく意識の中、「あなたたち!!やめなさい!!」という沙織さんの声が聞こえたところで記憶が無くなった。
◇◇◆◆ ◇◇◆◆
目を覚ますと沙織さんの顔があった。
「大丈夫?」
「だ…大丈夫です。痛てて…え?」
俺の状態に気付いて慌てて体を起こした。ここは保健室、横には沙織さんがいて、その横には里奈さんまでいた。
「さおりん…よかったね。大丈夫そうで、愛しの彼が無事で」
「りーな…違うってば~」
一体何が起きた?何故、沙織さんがここにいる。と思っていると里奈さんが
「君…さおりんにお礼言いなよ。と言っても愛しの彼なんだから、助けても当然か」
「りーな!!」
「あはは…ごめん」
そんな会話が聞こえているのだが、一体何が起きた。
「さおりんが君を助けたんだよ。親衛隊から」
「え…そうなんですか、お…さ…水樹さん、助けてい頂いて、ありがとうございました」
お魏母さんと言いかけた俺の言葉に沙織さんは顔が怖い。一方、沙織さんといいそうになったのでお…さ…と不思議な言葉を聞いた里奈さんは不思議な顔をしていた。
「お?さ?って、それに何?丁寧語なの」
「あ…いや…」
すると何か納得したような顔をしている里奈さん、その不敵な笑みは一体何ですか?
「うふふ…まぁ…さおりんの大切な人なんだから」
「え?」
「りーな!!」
「おっと、さおりん、こわいこわい。でも~大切な人なんでしょ」
一体何が起きているんだ?と思っていると保健の先生が
「気が付いたのなら教室に戻りなさい!!」
教室に戻るのが怖いと思いつつも俺たちはそれぞれの教室に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます