第13話 「なんで?」


本田の言葉に佐久間が反応しているというよりは、教室にいるクラスメイトの視線が俺に注がれている。


「まじっすか?え?恵!!今の」


「ち…ちがう。それはない。絶対ない」


この状況は最悪、俺が沙織さんと歩いていたのは事実だったがラブラブではない。どちらかというと喧嘩に近かったと言っていい。


すると本田がチチチと人差し指をふっている。


「俺の情報は完璧、恵らがラブラブで駅に入っていた証拠もばっちりらしい、もっちーの情報だしな。絶対に間違いない」


「だから、それは」


「偶然会ったって言いたいのか」


「うっ」


「この間のあんな振られ方していて、例え偶然会ったとしても、まず、声かけれるか?」


「それは…」


「ふふふ…二の句が出ないだろう。それにもっちー情報ではアマ噛み、いちゃラブ喧嘩をしていたそうだな」


そう言って、スマホを見せた。そこには俺と沙織さんのツーショットがしかもごめんと謝っている光景がばっちりと映っていた。


すると・・・


ガラガラガアラ   ピシャン!!


教室のドアが勢いよく開いた。


「立原!!顔を貸せ!!」


親衛隊長の堀川だ。今時死滅したような恰好をしている。なんでも最近はやっている映画に感化されたとか・・・喧嘩も強いと聞いている。そんな奴が取り巻きを連れてやって来ている。


ふと気が付くと俺の横にいたはずの佐久間と本田は教室の隅へ避難していた。


「あいつら~!!」


俺の視線に気付いた瞬間、目を逸らしてくれた。


トントントン・・・


肩を叩かれた。


「おい・・・貴様・・・立原だよな」


「はい・・」


「顔(つら)かせって言ってんだ!!」


「はいはい・・」


「やけにおちついているじゃねぇか・・」


こうして俺は、教室から校舎裏へ連れて行かれたのだった。

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