第10話 「二日目」

「あっ、おはようございます」


「おはよう。沙耶香ちゃん早起きだね」


「えへへ」


沙耶香ちゃんは嬉しいそうに近づいてきた。


「恵さんこそ早起きですね」


「俺?俺はいつも通りなんだけど」


そういう俺は、朝食の準備をしている。


「せっかく起こそうと早起きしたのに」


「え?」


「ああ!なんでもない!なんでもないですって、それより、恵さんこそ何をやってるんですか?」


「見ての通り朝食の準備」


「ふぇええ?何その女子力」


「この家で料理できるの俺しかいなかったからね。親父なんかカレーしか作れないし」


「確かに、パパさんが作ったすき焼き、ヤバかったもんね。恵さんがいたから、マシになったけど、それにしてもあれは酷いよ。調理するだけなのに」


「ははは、仕方ないよ親父の料理音痴だから」


「料理音痴だからって、あれは酷すぎでしょ。鍋を見た瞬間に気を失いかけたもの、すき焼きなのに、溶き卵が入っていたし、準備していなかったウインナーと餃子とかも入っていたよね」


「うん、餃子には俺も驚いた」


「まあ、恵さんが別な鍋に正式なすき焼きをしてくれたから良かったけど」


すると俺の手元をじっと見ている沙耶香ちゃん


「でも、朝ごはんの支度なんか、お嫁さんにさせればいいのに」


「新婚初日なんだから許してやりなよ」


「確かにそうだけど、じゃぁ何か手伝おうか」


「沙耶香ちゃん、ありがとう。それじゃ」


俺たちが朝食の準備を終えた頃、瀬里奈さんと沙織さんがダイニングに来て、沙耶香ちゃんを含めた3人で家族の団欒?と思ったら、会話がない。特に沙織さんは何か落ち込んでいるような感じだった。


⬜︎⬛︎


しかし、しかしだ。何故、あの二人はへーゼンとダイニングに座っている?俺と沙耶香ちゃんで配膳をしているのに、瀬里奈さんは時々沙耶香ちゃんに話しかけるが、その度に、沙耶香ちゃんの頬が赤くなって言い返しているということは、多分、揶揄っているようだけど、その度に沙織さんが俺に対して冷凍ビームで睨んでいる。


「ママいい加減にしてよ。もうっ!!」


「えっーーママわかんないーー!」


おい!!と突っ込みたくなる。それは、沙耶香ちゃんに、どうしたの沙耶香、家でもそんなに手伝わなかったよねとか、あらら!!ひょっとしてなど,あんた親でしょと言いたいくらいのことを言っているのだ。

一方、沙織さんは、その度に凄い形相で睨んできている。


因みに、今朝の机の配置はこう。


俺   ⬜︎ 瀬里奈

沙耶香 ⬜︎ 沙織


そんな状況で、俺の横でテンションの高い沙耶香ちゃんと対照的に暗い表情の沙織さんのマイペースな瀬里奈で朝食を終えたのだった。


因みに朝食の時に沙耶香ちゃんが俺と一緒に高坂駅のクニクロに行きたいと言ったのでこのあといくことになったのだけど、明日、こんな事が起きるとは思ってもみなかった。


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