第8話 「ごめんなさい」
紗耶香SIDE
どうしよう…恵さんに悪いことをしてしまった。そう思っている私は、おねぇちゃん達とバスに乗っている。しかも、恵さんの同じクラスの男子が二人もついてきていて、さっきのことを話している。
2人ともイケメンの部類には入るけど、とにかくお姉ちゃんの対してはイエスマンのみたい。なので、恵さんの話を振られたら
「あ…めぐみ?あいつひ弱だから」
スポーツマンぽい奴がそんなことを言うと合わせたように眼鏡をかけた自称インテリっぽいのが話を合わせていた。
「ビビったんじゃない?」
「そんなことないです。彼は私を守ってくれました」
私の言葉にみんな呆れた表情を浮かべた。
「ありえない」
「そうよ。現に立原君、紗耶香を庇っている位置にいなかったじゃない」
お姉ちゃんも私の話を聞いてくれない。そこへ里奈さんも追い打ちをかけてきた。
「二人の話を聞いていると絶対ないよ。紗耶香ちゃん!!」
「そうよ」
「絶対ないって、あの臆病な奴は」
この言葉を聞いてムカついたんだけど、けど、ここで、私の家族とでも言ったら大変なことになる。特にお姉ちゃんが恵さんのお母さんだとは口が裂けても言えない。
「もう。いい」
なので、私は、一人窓の外を見て、この人たちの会話をスル―したのだった。そんな私を見て、みんな呆れていたみたい。でももう話したくない。そう思っていると私の話は既に終わっていて恵さんがお姉ちゃんに告白した話を里奈さんが始めた。
「ところで、あの立原って、だめなやつよね。この間なんか沙織んに告白して、ビンタ食らってたし、あんなんでよく学校へ来れるわ」
「ああ…あれ?」
「実はあれ、俺たちが仕組んだんだ。実は…」
「ええ!!じゃぁ。学食を賭けて告白したの?」
里奈さんの呆れた声がバスの中で響いた。
「あっきれた・・・・」
お姉ちゃんも憮然としている。そんな会話が終わりかけた頃、バスが高坂駅についた。そして、お姉ちゃんたちはカラオケに行くらしい。私も誘われたけど、そんな気分じゃない。というか、この人たちと一緒にいたくないと思った。なので
「私帰るから」
「気を付けてね」
「はーい」
実は高坂駅から家まで結構な距離がある。ひょっとしたらショッピングセンターから歩いた方が早いかもと思ってしまうほど、だけど、ショッピングセンターからの帰り道を知らない私は、この道でしか家に帰れないと思っていると家に着いた。
はぁ…
家に入ると
「おかえり」
「え?うそ」
そこにはめぐみさんの姿があったのだった。
「紗耶香ちゃん、早かったね」
「え?あ?どうして家にいるの?めぐみさん、バスに乗ってなかったよね。それとも私たちが乗ったバスの一本前に乗ったの?あれ?」
「紗耶香ちゃん、一度に質問されても答えられないよ」
「あ…ごめんなさい」
「まずは、紗耶香ちゃんより早く帰ってきているのは、歩いて帰ってきたから」
「はい?」
「ここからパオンへは歩いて10分ほどなんで、実は高坂駅より近かったりする」
「じゃぁ。何故、私たちをわざわざ遠回りさせたの」
「行く前に言ったよね。最寄り駅も教える為、今回はバスで行くって」
「あ・・・」
恵さんは、来週から学校へ通うために最寄り駅を教えてくれたという。と感心している場合じゃない。
「あ…それから、ごめんなさい」
「え?どうしたの」
「あの時」
「あっ…それなら俺こそごめんね。紗耶香ちゃんをちゃんと守れなくて」
「---っ」
反則的な言葉に思わず目をそらしてしまったんだけど、恵さんは、どうしたのと聞いてきている。ちょっと目を見ることができない。
「そろそろ夕飯準備をしないと」
助かった。恵さんが話を切り替えてくれたおかげで、ちょっと余裕ができた。
「夕飯は何」
「すき焼きだよ。オヤジの奴奮発しやがって」
「すき焼き。やった♡」
「これから準備するからね」
「私も手伝います」
「じゃぁ。お願い」
こうして、二人で夕食の準備をすることになった。
夕食の準備が終わって、後は、すき焼きを始めるだけになった頃、パパさんがリビングに入ってきた。
「あれ?沙織は?」
そう言えば、お姉ちゃんまだ帰っていなかった。
「紗耶香ちゃん、沙織さんは?」
「あっ…お姉ちゃんは、理名さん達とカラオケに」
「親父。だそうです」
「わかった。俺から早く帰ってくるよう電話しておく」
おねえちゃん新婚なのに何やっているんだかと思っていると
「え?帰り道が分からない?」
そうだ。お姉ちゃん、方向音痴だった。そして、パパさんの声が響いた。
「めぐみ!!遅いからお前が迎えに行ってこい」
恵さんかわいそうに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます