第7話 「再び俺は途方に暮れる」
頬を叩いて、気合を入れた俺なんだけど、、周りから変な目で見られていた。うーはずい。入れ直した気合がするすると抜けていく…けど、とにかく、食料品を買わないと、俺は、食料品売り場へ向かった。
ショッピングカートを押して、今週の食材を探す、5人分となると想像よりも多い。持ってきた大きめのマイバックでも足らないので、仕方なく、レジ袋を購入した。
さてと、ここは、カートで動けるから助かった。この重い荷物を持って、うろうろすることはできない。とりあえず荷物をコインロッカーに入れてと思っていると目の前で紗耶香ちゃんの姿を発見したのはいいけど、頭が悪そうな二人組の男達にナンパされて困っている様子だった。
「紗耶香ちゃん」
「あ…めぐみさん」
俺の声に気付いた紗耶香ちゃんは直ぐに俺の後ろに隠れた。
「あ?あんた誰?」
「俺たちの恋路を邪魔すんなよ」
そう言って俺の肩をドンと押した。
「ビビってやがんの」
「その娘(こ)をこっちに出せ」
「断る!!」
「はぁ~?今なんて言った?」
「断ると言ったんだ」
「ぐらぁあああ!!わかってんのかてめえ!!」
ガタイのいい方が俺の胸倉を掴んで顔を殴った瞬間だった。
「警備員さん!!こっちです!!」
女性の声が聞こえた途端、やべぇとか言って二人組は逃げていったのだった。そして、俺たちのところにやって来たのは、沙織さんと里奈さんだった。
「紗耶香!!大丈夫?」
「うん」
そこまでは良かったのだが、二人の視線が冷たい。特に里奈さんの顔は怖い。
「ところでどうして、君がここにいるのかな?」
「あ…たまたま、通りがかっただけで…」
「そうなの?だったら?なんで女の子を助けてあげないのよ」
「ええ?」
「あ…えっと、おねぇちゃん…これは…」
里奈さんがいるせいか、紗耶香ちゃんも俺のことをどういったらいいのか、わからないで言葉を濁している。そして、間が悪かったこと殴られた時に俺の位置が紗耶香ちゃんを庇っている場所から別の場所に移っていたので、駆け付けた彼女たちはその位置関係を見て俺は何も言えないで立ち尽くしていると判断したのだった。
「本当!!あなたサイテーね」
「そうよ。少なくともさおりんの妹と分かって見て見ぬふりをしていたなんて」
「だから…おねぇちゃん!!」
「紗耶香、怖かったでしょう。さ。帰るわよ」
「だから!」
「沙耶香、分かったから、怖かったんでしょ。ささ、早く帰るよ」
最期に俺を見下している二人の冷たい視線が無くなると同時に俺は一人その場に取り残されたのだった。
そして、再び俺は途方に暮れたのだった。
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