第2話 「おかあさん   2」


「え?…み…水樹さん?なんでここに?」


俺の目の前に水樹沙織がいる。


ここは、親父に連れてこられたホテルの個室、テーブルを向こうには、水樹沙織の横に彼女より年上の美女と中学生くらいのツインテールの美少女が座っていた。俺の言葉を聞いた彼女が何か言おうとしたところを親父が制した。


「沙織さん待ってくれ。めぐみ。この方たちがこれから家族になる人達だ」


「俺と水樹さんが家族に」


「そうだ」


親父の話から推測すると再婚相手は、この美女ということが正しい。ということは、水樹さんとは家族関係になる。普通ならば、ここでラノベの世界のように彼女との日常を妄想するところだが、残念なことにそんな気にはさらさらなれない。


(最悪だ…)


何故なら、最近、振られた上ビンタされた記憶が生々しいからだ。だから彼女を見ることすらできないでいる。



すると彼女の母親が立ち上がった。


「初めまして、恵君、ここにいる二人の母の水樹瀬里奈です」


「あ・・・はじめまして」


「こちらが娘の沙織と紗耶香です。これから私たちと家族になるのですからよろしくね」


「こちらこそ、宜しくおねがいします」


瀬里奈さんは安定した話し方で娘たちの紹介をすると水樹さん(沙織さん)に挨拶するように目配せをした。


「立原君、私のこと知っているわよね。水樹沙織です」


「あ…どうも…」


彼女とは対照的にぎこちない話し方になってしまったと思ったら、親父に太ももをひねられた。


「いて!!」


「しっかりと返事をしろ」


「あ…すみません。立原めぐみです。よろしく」


すると妹の紗耶香さんが指さして驚きの声を上げた。


「えー!!この人が甥っ子なの?もう少し、しっかりしているって聞いていたのに…」


この時、動揺していた俺は、紗耶香さんの言葉に気付かなかったんだけど、そんな彼女を二人が注意した。


「「しーっ!」」


てへっと軽く笑みを浮かべながら元気な挨拶をしたのだった。


「はじめまして、水樹紗耶香です。ヨロシクね」


「はじめまして、立原めぐみです。ヨロシク」


俺のふがいない姿を見て呆れて表情をしていた親父だったがパンと手を叩いて、席を立ちあがった。


「それでは始めましょうか」


「「「はい!!」」」


3人の気合が入った返事が返ってきたのにはちょっとびっくりしたんだけど、それより親父が立っている位置を見て驚いた。


(何故、親父が水樹さん(沙織さん)の横に立っているんだ?)


親父にエスコートされる形で彼女も立ちあがった。そして、親父は俺に話しかけてきた。


「めぐみ・・・今度、お義母さんになる沙織さんだ」


「立原くん・・・今度、亮さんと結婚することになりました。水樹沙織です。よろしくおねがいします」


俺の頭の中は真っ白になった。


注意事項

民法上は2022年4月以降、女性の婚礼年齢は18歳以上になっていますが、本作品はそれ以前に作成したものですので、ラノベということで許してください。

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