第11話

今は、邪魔者が外に遊びに行っている。


 私と兄の二人だけ。

 そして、休日で片付けも全て終わらせている。


 そうだ。今のうちに遊ぶ相手は選ぶよう教えないと。


 「お母さん、お母さん!」


  やばい、そんな純粋な顔をされると、暗い話出来ないじゃん。


 「どうしたの?徳幸?」


「遊びに行こうよ!」

 

 【遊びに行こう!辛い時だから遊ぼう】


「、、、どうしたのお母さん?」


「何でも、無いよ。でもごめんね、春は鍵持ってないから、家に居ないと」

 私はよく鍵無くしてたからね。いつもお兄ちゃんが無くさず持ってくれていたから家に入れた。


「あ、確かにそうだね。」

 兄は少し落ち込んでいる。きっと遊びに行けないことよりも、私のことを傷付けてることを考えたからだろう。


 「、そんなに暗い顔しないで、」

  私は兄を抱きしめる。


 「お母さん。」


「大丈夫、お兄ちゃんはしっかり、、、普段からお兄ちゃんにやってるんだから、、、」

兄を慰めるつもりで抱きしめたのに、私の方が涙が出て来た。


 何度、この言葉を言おうと思ってその逆を言ってしまったことか、、、


「、、、大丈夫、お母さん?」

いつの間にか、兄が私を心配して抱きしめ返してくれている。


もう少しだけ、昔のようにさせて貰おう。



それから私は容赦なくゲームで兄に対して無双した。


 

ーーーーーーーーー


 「ただいまー!!」


 私が帰って来てしまった。


 そして、兄に容赦なく抱き付いている。羨ましいぃ。、本当に羨ましいぃ。


 「??どうしたの、、、あ、、、お母さんもして欲しいでしょ!」


そして、私は私に向かって抱き付いて来た。


 思わず違うーと心の中からの叫びを抑えて、日常通りの態度で彼女を迎えた。


 あれ?大事なことを忘れたような?


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