第6話

時間も経ち、智永くんは帰る時間になった。


 「今日はお邪魔しました。」


  また来てね、とは言えない。


 「うん、智永くんしっかりしてて偉いね」

これからも兄のことをよろしくねとは言えない。


 「じゃあね、新くん」


「またね、」


ーーーーーーー


 兄と智永くんはすごく仲良さそうに遊んでいた。お互いに色々理解し合ってるみたいに、


 「ねぇ」


「どうしたの?お母さん?」


「これからはもっと色んな友達家に呼びなね。」

どの口が言ってるんだろう。ただ今の兄を守る為にも言わないといけない。

 

 「うん!わかった!」

とても、笑顔で楽しみそうに答える。


 私は絶対にもう二度とこの笑顔と命を奪う訳にはいかない。


ーーーーーーー


 「友達帰ったのね、」

  私が出て来た。


 「ごめんね、部屋でずっと待たして。」


「ぷー、そうだよ。私も、、、、、と遊びたかったのに。」

この頃からだった。お兄ちゃんから優しさは平気で受け取るが、素直に兄に甘えることが出来ないのだ。


 そして、これがお兄ちゃんに最悪な結果をもたらした。


「ねぇ、春」

 私の自信を名前を呼ぶのはやっぱり照れる。


 「何?お母さん。」


「春のお兄ちゃんも友達との関係も大事なのよ。春だって友達大切にしてたでしょ。」

当時はあーちゃんとか梨とか


 「うん」


「お兄ちゃんと遊びたいのは分かるけど、少しだけ我慢してね」


「違うもん、お兄ちゃんと遊びたいんじゃないもん。」

私難!もう小学三年生なのに、本当に素直じゃない、子ども思考。


「違うもん、違うもん。」

あー、私の元必殺技駄々こねを発動した。あの時に意地を張っていた感覚を思い出す。

 本当にお母さんにも、苦労かけたな。


「ねぇ、今日は久しぶりなんだよね、友達来るの」


「うん、そうだよ。」

兄の返事。


 「なら、今日はお祝いにケーキを食べようか」


「いいの!」

私は目が光ってる。


「俺も食べたい!」


「買いに行こうか。」


「うん!」「行く行く!」


そう咄嗟に思い出した。

 昔お母さんは何かとお祝い事をしていた。よく考えたら、こうやってケーキを買って私を抑える為だったんだな。


 私自信を甘えさせてしまった。甘えもきっと私が駄目になる原因なのに、、、


 「ケーキ」「ケーキ!ケーキ!」

でも、兄も楽しみにしてるしいいか。


 その後、小さい私は、兄が楽しみにしているイチゴを兄のケーキからさっさと盗むのだった。

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