第10話 死の回避 🔪🔪🔪

 死の予感が過ぎった渦巻は、佐藤に挨拶を交わして別れた。


 汗を拭い、風見鶏の様子を見る。

 彼女は最後まで佐藤を睨んでいた。その様子にただただ怯える渦巻。


「あ、あの……先生」

「ごめんね、渦巻くん。先生、ちょっと妬いちゃった」

「え……」

「大丈夫。渦巻くんを刺し殺そうなんて思ってないから」


(ヒィ~~~!!)


 戦慄する渦巻。

 それもそのはずだった。風見鶏から明らかな殺意を感じ取られたからだ。だが、渦巻もただ刺されるほど愚かではない。


 今まで何度も風見鶏と過ごしており、機嫌を直す方法を知っていた。


「せ、先生……! 街へ行きましょう。おすすめのクレープがあるんです!」

「クレープ……本当に!?」

「はいっ、めちゃくちゃ美味しいんで奢ります」

「わぁ、嬉しい」


 太陽のように笑顔になる風見鶏。その様子に渦巻はホッとした。

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