再び開かれる蕾
星影だと!?まぁ星影なんてただの名字だし七星とは違うかも知れないし。
必要なことは聞けたから今日はもう大丈夫かな。
「たくさん教えてくれてありがとう。今日はもう帰るね。まだプログラミング
の仕事残ってるから。」
「あらそう。お仕事頑張ってね。」
「ありがとう。母さんまた来るね。」
俺は病室を出た。
「あら。陽風君久しぶりだね。
顔なじみの看護師が話しかけてきた。
「はい。最近仕事が忙しくてなかなか会いにこれなかったので。母さんに寂しい思いさせちゃったでしょうか?」
「そんなことないわ。月詠さん毎日私に話してくれるのよ、陽風君の事。」
「そうですか。それならよかったです。あ、後これ。」
そういって俺は渡しそびれたクッキーやマドレーヌが入った焼き菓子の詰め合わせを看護師に手渡した。
「これ、母さんに渡してもらってもいいですか?渡しそびれちゃって。」
「あらまぁ。焼き菓子がたくさんね。きっと月詠さんも喜ぶわ。」
「そうだとうれしいです。では失礼します。」
そう言って看護師に会釈をしてから病院を出て真っ先に七星に報告しなくては。
♦
「そうなんだ。やっぱりアタシを助けてくれたあの人は陽風のお父様だったんだね。それなら陽風にカタマリが視える理由も分かる。」
七星はうんうんと頷く。
「俺の父さんの家系には父さんみたいに生まれつき青い瞳をもってたりカタマリを祓う力をもった人は居ないみたいだ。」
「ならあの人は突然変異で生まれてきた特別な人なのかも。」
突然変異か。なら息子の俺に遺伝はしないはずだ。だがもし俺も父さんと同じような変異を起こして生まれてきたのならそれはもう奇跡としか言いようがなくなる。
その説は薄い気がするが。
「そっかぁ。なら突然変異とは違う何かがあの人と陽風に起こったってことになるよね。」
「その何かが分からんから困ってるのも事実だ。」
「困ってる?たとえば?」
言葉が詰まった。困ったこと?いいやそんな軽いものじゃない。俺は正直この瞳が
大嫌いだ。この瞳のせいで…。
「おーい。どうしたの陽風?急に黙って体調悪い?顔色も悪いし。」
「っ!い、いや何でもない心配しないでくれ。考え事をしていただけだ。」
七星はあっそと言って依頼の資料に目を向けた。
「依頼の事忘れてたなぁ。陽風のお父様のことに意識むいちゃってた。」
「そういえば受けてたな依頼。」
華の山高等学校の優等生変死体事件とそれと同時に出現した言霊の怪物カタマリによる生徒襲撃。それにより華の山高等学校では怪我人や病人が絶えない。
「明日、あの学校に行こう。何時がいい?」
「そうだな。生徒が完全に帰宅してからの方がいいんじゃないか?そっちの方がもしヤツが現れても対処しやすいだろ。」
そうだねと言わんばかりに彼女は目を見開いた。
「それじゃあ18時ごろにしよう!」
「それは少し早いんじゃないか?もしかしたらまだ残ってる生徒とかも…。」
まぁ大丈夫じゃない?とのんきな答えを返すと七星は続けて話した。
「アンタ、
なんだかとても納得できた。
俺たちは早速学校に連絡して、明日の18時に調査をするからそれまでに生徒を全員帰らせてほしいということを伝えた。
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