朝比奈陽風とシーニー

 俺は早速、星影七星ほしかげしちせいという女に協力することになった。

しかしこいつとバディを組んでからというもののろくなことがない。

 

 七星はカタマリのことが視えないから視える俺が前線に立って

七星に指示を送るんだが、これがまぁ大変だ。

 

 指示は基本的に声を張り上げないと七星が聞こえないというので、

仕方なく声を張り上げているのがだが、そのせいでカタマリは

こっち優先で襲ってくるから疲れるし普通に怖い。

 

 それに加えて、七星と俺の家が近所だったらしくほぼ毎日俺の部屋に俺の許可もなく上り込んでは、夜遅くまで帰らない。

おかげで俺はこのところずっと寝不足だ。

 

 まぁ寝不足だったりなんだりはあるが、前みたいに退屈はしないな。

だが俺の作業の邪魔をしてくるのはやめてほしい。


 さて本題に入ろう。実は俺たちに依頼が入ってきた。

何でも依頼主は学校の校長らしく、ソイツは俺と同じのカタマリが視えるタイプらしく、学校のそこかしこに居て困っているらしい。

 七星は初めての依頼に胸を弾ませているようだ。多分金が入るからだろう。


陽風はるかぜ!学校の情報調べといてね今日の17時ごろに行くから それじゃ!!!」


「ちょっ おい!!七星!!」

 

バタンと部屋のドアが閉まる。相変わらず無茶を言うやつだ。

現在午前11時。七星は先ほど大学に行った。ということはここにいるのは

俺1人。依頼に時間までは残り6時間。

学校の情報を調べるだけなら1時間で終わる。この俺を舐めてもらっちゃ困る。

学校の名前は分かっている。


 知ってるぞ。この高校昨年ここの女子生徒の変死死体が見つかって話題になってた高校だ。

そんな事件があったからほしい情報がヒットするかは分からないが一応調べてみる価値はあるかな。まずは変死死体について調べてみよう。

 やはりヒット数は多いが俺のほしい情報は見つからないな。俺がほしいのはそんなちんけな情報じゃない。俺がほしいのはそれのもっと上を行く情報がほしいんだ。つまり彼女の個人情報や友人関係、欲を言えば死体の写真もほしいところではあるな。


 15分経過

いまだ情報はつかめそうにない。ここはあのを使うしかないか。

 俺はある人物に連絡してみることにした。


『ファクター。少し頼みたいことがある。』

『おお!久しぶりじゃねえの?シーニー。なんだ頼みたいことって?』


ファクターは俺にハッキングを教えてくれた先生だ。だからハッキングの技術は俺よりもはるかに上でもファクターは俺には及ばないってさ謙遜けんそんしすぎだよ。

 

『華の山高等学校について調べているんだが、俺のほしい情報が見当たらない。』

『華の山高等学校ぉ? あぁあの死体が見つかったっていう学校か?なんでそんなところを?。』

『ちょっとそこに用があってな。死体の少女について調べてほしい。できれば死体の写真とかのやつも。』


黙り込んでしまった。こういう時は決まって渋っている時だ。


ちょっと経ってから返答が来た。

『個人情報とかはともかく死体はやだよ!僕ちんがグロいの苦手なの知ってるでしょ!?』

『30過ぎたおじさんの癖になにが僕ちんだよ。』

『そういう事言うんじゃないよ!僕ちんの心は一生10代のままだよ。』

『それはよかったね。それはそうとお願いね。俺も一応探してみるけど。』

『え~!?ちょっと待ってよ!!シーニー!!』


 通話を切った。

さて、もう一度探してみるか。


作業を始めて40分が経過した。

進展があった。被害者の個人情報があらかた特定できた。

少女の名前は笠野燈鞠かさのひまり。高校2年で生徒会の副会長。

部活は女子バレーボール部に所属しているらしい。それに学校のホームページを見れば賞状をもらっている姿が目立つな。優等生だったのか?

 笠野のSNSアカウントを特定した。今日の天気だとかおやつだとかつまらん内容ばかりだな。

 なんだ?2か月前の投稿から様子がおかしいぞ?


『最近学校に行きたくないです。皆さんはこういう時はどうしますか?』

『もう嫌になりました。何もかもすべて終わりにしたい。私を助けて』


なんだこれ?2ヶ月前何があったっていうんだ。もしかしてイジメ?

 イジメ…か。もう思い出したくのない思い出の1つだな。気分が悪くなってきた。


『シーニー!何か分かったか?』

『あぁ。少女の名前は笠野燈鞠。高校2年生だ。彼女のツイッターアカウント

も見つけたんだが、少女が亡くなる2ヶ月前から不穏な投稿が増えているんだ。リンクを送る。』

『あ~。かわいそうに辛いだろうなぁこの投稿がイジメの証拠っていうのか? 』

『まだ確証はない。そういう匂わせをしてるだけかも。』

『そっか~。あ!そうだ、頑張って探してあげたんだから感謝しろよ!』

 メール画面に1枚の画像が貼られる。

貼られた画像に映る少女は原形を留めていない。それに加えこの少女の両目には彼女のものであろう制服のボタンが埋まっている。見ているだけで吐きそうな画像だ。


『惨いな。これは転落死か?』

『状態を見る限りそうだろうな。だが死体が見つかったのは学校の屋上だ。

転落死でもどこから落ちたっていうんだ?こんなにぐちゃぐちゃじゃ運べねぇと思うし。』

『そうだな確かに妙だ。ありがとう。苦手なのにこんな画像用意してくれて。

さすが俺の尊敬するだな。』

『うっうるせぇな!!!からかうのは辞めろよ!!!!』


まぁ感謝しよう。七星からの頼みはひとまず済んだな。

 しかしこの高校。何か大きなものが隠れてる気配がしてきたぞ。










 

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