第63話 凹んでいることに気付く。
「しかし、おまえも付き合いいいよな~」
頭の後ろで手を組んで渡辺
「私、ま~たく聞きたいことなんてなかったのに、付き合わされたんだからね、ありがたく思いなさいよね」
田中アキは舌打ちしながら圭を睨む。アキは全く発言してなかった。
「そう言えばちゃんと理解してるか? 田中さんがオレの戦略の秘密兵器なんだからな」
「秘密のままで終わりそう」
「あの…川守くん。私、呼ばれてない気がする」
「呼ばれてない?」
「名前。下の名前、Bチームの子みんな呼び捨てで呼んでたでしょ」
「田中は田中で十分。圭、忙しいから田中の不必要な情報覚える必要ない」
「黙れ、吉沢。あんたって、私の名前不必要な情報なの⁉」
「
「出た! 概ね‼ あんたさ、私に対して『概ね』使いすぎ!『概ね注意報』発令よ‼」
「川守サンよ、田中はどうでもいいけど」
「どうでもいいんかい! あっ、単なる『ノリツッコミ』です!
田中アキは渡辺
「おまえさんが自由参加だって言うから来てないだろ『
『B2』はつまりは『B1』の控え的存在だ。Aチームから見たら控えの控えに『超攻撃的な
そのことを渡辺
「その、
「
世界的に見たら南米辺りにいそうなタイプの
しかし、それくらいプレースタイルが際立った
「立花の天敵なんだよ、立花はランニングしか指導方法を持たない。
ここまで話して渡辺は1段深刻な顔して考え込む。言うべきか言わざるべきか、そんな顔。
「どうしたんですか?」
「いや、言ったろ?
「おふたり。
それに気付いてない圭ではなかった。だけどなんて言っていいかわからなかった。人が見てる前で下手な慰めはかえってよくないと思っていた。
ふたりになる機会、せめて
「石林先輩が有能なことは昨日の早乙女との試合で証明出来ました。攻撃的だし、守備も出来る。前線で溜めも作れる。ただ、今のシステムだと出番がない。だけど、それで終わりなのかと言えばそうじゃない。先輩は先輩で唯一無二を証明し続けてくだ
さい」
「唯一無二?」
「はい。先輩にしか出来ないことだらけです。システムが必要としないなら、システムを変えてでも先輩を起用したくなるようにしましょう。そのための『A1』との試合なんですから」
「ごめん。なんか凹んじゃったうえに慰めてもらって。うん、頑張るね! 私は川守さんのピボーテなんだから!」
それを見ていた
(石林ってこんなかわいかったか? いや、かわいくないわけじゃないけど、こんなにだったか)
チラ見しながら、何がこんなにも
でも、ここは多少配慮しとこうと思った。
「これから私と田中……吉沢で
「えっ、嫌です! お腹すきました!
「
「『概ね』差し押さえキタ〜! なんで吉沢の許可がいるの? いや、フルネームで呼ぶなよコラ〜!」
そんなアキを
(先輩さぁ、すぐ立ち直った振りするからちゃんとフォローよろしく。そうだ! 家連れて行ったら?)
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