第28話 猛攻に気付く。
全国にいくつもある小京都と呼ばれる観光地のひとつで下車し、
『早乙女女学院高等部』
「あっ……」
今更ながら圭は気付いた。今日は近県の強豪校との練習試合。圭はここに来るまで対戦校のフル名称も知らなかった。
(早乙女学院高等部かと……)
ちなみに同系列で共学の進学校「早乙女学院高等部」がある。今日の
「まさか……男子禁制では」
女子校だ。しかも圭は私服の上にもちろん事前申請などしてない。その上どうしていいかわからず、パッと見挙動不審。
そうするうちに時間は刻々と過ぎ、B戦(ベンチ組)が終わり沙世が出場するA戦(レギュラー組)が始まる時間が近づいていた。
付け加えると問題はこれだけじゃない。
つまり、是が非でも『早乙女女学院高等部』に侵入して
ちなみに
ただ、事情を話し
しかし圭の通う
冬休み。事前申請なし。女子高。しかも私服だ。この上ない不審者の自覚が圭にはあった。しかも遠路はるばるやって来たのに試合は見れない上に、下手をすると帰れないという焦りがある。そんな感情がより一層圭を不審者に見せる。
校門前をウロウロともう何週しただろう。冬なのに焦りで額に汗が浮かぶ。そんな状況だが捨てる神あれば拾う神ありとでも言おうか、声を掛けてくる女生徒がいた。
「あれ。川守くん? 川守圭だよね」
「あ……」
そこには172センチの圭が軽く見上げるくらいの高身長女子がいた。髪質が柔らかいのか形のいい頭の形にふわりと載るようなショートカット。聞き覚えのあるハスキーボイス。
「
「そうだよ~中学の時からの~ごめんヨシ。先行ってて~遠距離で久しぶりだから」そう言って
***
「ごめん、川守くん。ここ女子校じゃない? カレシいる風でちょいマウント取りたい気分で、つい。ところで何してるのこんなトコで。まさか私いまから告られたり? いや、即オッケーなんですけど? 違うよね? 内心大歓迎だったりだけど?(にししっ)」
冗談が好きで、笑うのが好きな
「ん……マジ、吉沢来てんの? 事務室に誰かいるかな……冬休みでも仕事だろうし……監督に聞いてみる! あっ、それと後でお願いあるの~待ってて!」
(なんか助かった……)
胸を撫でおろす圭だったがそうは問屋が卸さない。校門数歩入った植込みの近くで待っていた圭に声が飛んだ。
『ねぇ~‼
さっき
『えっ、
『おふたりの出会いは~?』
『
(まぁ、いいか。それくらい乗ってやっても)
そんな軽い気持ちで圭は答えた。
「その……出会ったのは中学。笑ったらかわいいし、背が高いのもかわいいと思う」
恋愛感情はともかくとして、ウソは言ってない。出会いは中学だし笑顔もかわいい。背が高いのも
『はい! カレシさん! 私、
『うわっ、センパイ、まさかの後輩のカレシ狙い⁉』
『ね、寝取りだ~!』
『おばあちゃん認定~‼』
『モップ掛けって家庭的~センパイ素敵~』
圭は恋バナに飢えた部活女子のいいおもちゃになった。
(
早くも女子の恋バナ猛攻を持て余していた。
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