第27話 なんか踏んだことに気付く。
「じゃあ、アレですか⁉ 吉沢が川守さんを選ばないケースも?」
「えっ、なになに⁉ そういう流れ来てるの⁉ なに、じゃあ私はこの偉大なるビックウェーブに乗ればいいのね?」
北見
「あの、喜んでるところなんなんだけど、ミナミさん」
「北見です」素で答えた。
(ねぇ……
(姉ちゃん。いや確かに今のをフォローと呼ぶなら相当上から目線だけど。敢えて「行間」読むなら、姉ちゃん、川守さんの眼中にまったくない模様……気にするな)
「ミナミさん。話聞いてる?
いや「
「それに
「帰るわよ、圭」
「あの……
「そうよ、他に誰がいるの?」
「いえ、じゃあ……私の敵は吉沢先輩だけですよね?」
「これはあくまで
「はい」
「北見さん。あなた、
「何を……でも吉沢
「乱暴者か」圭が口を挟む。
「そ、そう。手加減出来ないっていうか、パないでしょ! 川守もよく絞められてるし‼」
「ふ~~ん。あなたの目が節穴なのはわかった。でも、忠告。
「ん……まぁ、なんだ。
圭は手を上げてそれから振り向くことはなかった。そのままふたりはヨーカドーを出て、自宅に向かう横断歩道でクルマが通り過ぎるのを何となく待つ。たいした話はしない「私、オレンジのとか初めてなんですけど、着けたの見てみる?」みたいな軽口を圭に投げかけるけど、圭の反応は薄い。
「ホントにもう……(お姉ちゃんなんて損よ、損!)」
圭を道路の隅、ヨーカドーの外壁まで引っ張る「はいこれ2000円」と財布から取り出す。
「お客さん、ウチそういうサービスしてないんだけど……」
「バカ。今から『ハマ電』乗って海沿いを行けば、あら不思議。あっという間に県境『小京都』って言われてる観光地だからレンタルサイクルが『な、なんと1日乗りたい放題でワンコイン』これはお得でしょ? 行ったげて。気になってるんでしょ、試合。あと、あんた。お財布に入ってるレシート捨てなさいよ。それと……『診察券』日付ずいぶん前だけどちゃんと病院行きなさいよね」
「
「なによ、べ、別に心配なんかしてないんだからね。あんたは
「じゃ、なくて……」
「ん?」
「昼飯代もプリーズ!」
「あ、あんたって子は……まぁ仕方ないわね……クリスマスと
「もう一声……『小京都』行くんだから牛丼以外で!」
「もうしょうがないわね……」
そう言って
(男子的に「黒」の方がまさかインパクト強いの?)
「あんた、まさかあの娘の『黒』で変なこと妄想するんじゃないでしょうね」
聞いてみた。圭は少し考えて「大丈夫、妄想は
まぁ
***
「――で、
リビングで長く伸びた足をペタペタしながら、
「まぁ、ね。なんてったって私、信玄公だから」
「信玄公は『塩』貰った方でしょ? 送ったのは越後の虎、謙信様(諸説あり)」
「なに歴女ぶってんのよ。いいの私は如水さまのように縦横無尽に恋の策略を炸裂させるの。覚悟しなさいよ、許嫁陥落の日は近し‼」
「如水軒
(それにしても圭ちゃん、ちょっとここ数日ハードだなぁ……胸は大丈夫かなぁ……)
「そうそう、圭のヤツ『お団子』といたよ」
「『お団子』? なにそれ、新しいゆるキャラ?」
「うん、まぁゆるい感じはそうかなぁ……確かミナミノ……いや北見だっけ? 親密なクラスメイト」
「ん⁉ 北見
(ありゃ⁇ 私ったら地雷踏んじゃった? あぁ……お昼の用意したいんだけど、それどころじゃないわねぇ……)
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