第20話 イベント開催に気付く。
買い物を終えた圭は部屋で眠る
返事がないのでそっとに部屋に入ると
「圭ちゃん、おかえり。ごめん、なんか飲みたい」
弱々しい声。買い物に出る前の軽口はそこにはもうない。圭はポカリを用意し座った
「――でも、変な感じだね」
「だって圭ちゃんに看病されてんだよ? なんか特別扱いで照れちゃう……いやここはデレようか?」
「こんな時にデレなくていい。いつもデレてるだろ。この先いくらでも特別扱いは待ってるから。早く治そう。さあ熱測って」
(い、いつもデレてないもん! もう圭ちゃんたら……ばかぁ。でも……デレてるように見えるのかなぁ……私デレてるのかなぁ……きゅん)
圭の一言で熱が上がりそうだ。この男子は看病がしたいのか悪化させたいのか。
いや、もしやこれが『恋の病』とやらなのか⁉(キリッ!)
最近の体温計は数秒で熱が測れた。病人の負担が少しでも軽くなっていい。熱は残念ながら上がっている。
38度半ば。圭は体温計を見て、病院から出された解熱剤を
処方された薬の袋には「38度を越える場合服用してください」とある。
圭は1度
アイスノンにタオルを巻き、寝ている
「
よほどしんどいのか「こくり」と頷くのがやっとだ。目を閉じると薬が効いたのかすぐに寝息を立てて眠りに落ちた。
圭は忘れない内に『
これは
思ったより冷静さを失わない。
『熱が高い時はあまりお布団を被せたら熱がこもるから注意して』と彼の母親からラインが入った。
『
(さてと……)
圭はリビングに降り、コンビニで買っていたおにぎりとインスタントの味噌汁を食べる事にした。
食べられる時に食べないと体力がもたない。こんな時に
(これじゃ栄養が足りないか……)
自分が倒れたら意味がない。圭は自分のことは面倒臭いと思いながら卵を焼いて食べた。十分に栄養が足りているかわからないが少しはマシだろう。
何となく自分も心配されているだろうと食事の写真を『看病グループ』に送信した。
食後どこで待機しようか迷った。
部屋に一緒なら何か起きてもすぐに気付くことが出来る。でも、寝ている
リビングなら起こす心配がないけど、何かあってもすぐに気付けない。
(起きた時にいないと心細いか……)
もし自分が病人で看病してくれるのが
出来るだけ静かに部屋に入る。
意外にも
圭はこたつに入り、読みかけの本をカーテンから零れる光で読む。スマホは光で起こしてしまうかもと、控えた。
この気遣いは
***
「圭ちゃん。私寝てました」
夕方前。まだ陽が残る頃
「どう? 少し元気そうだけど。熱測ろうか」
圭は体温計片手に近づくと
「どうしたの?」
「あぁ……私汗かいてて……恥ずかしいです」上目遣いで訴えるものの「汗かくのは熱があるから仕方ないよ」と圭は取り合ってくれない。
「でもでも、私、その……女子です、恥ずかしいです」抵抗するが「はい、病人はじたばたしないの」と隣に座られ体温計を脇にさされた。
「うぅ……圭ちゃん。こんな事したら逆に、逆にむしろ熱あがりますぅ……」
近くのクッションに顔を埋め、懸命に抗議の意思を示すが、単にかわいさだけしか伝わらない。ほんの数秒後に体温計の電子音が鳴り、確認すると37度中盤くらいまで熱は下がっていた。
「よかった少し下がってる。薬効いてるみたいだな。汗かいてるだろ、着替えないと。廊下に出てるから」
しかし
(風邪の時お風呂入る派なんだ)
圭の家族は圭を含めてお風呂には入らない。長引く場合は別として、髪を洗面所で洗い体を濡れタオルで拭く感じだ。
「じゃあ、準備する。着替えは
そう言って圭は
(ど、どうしよ……これって、あれだよね……お風呂イベントだよね‼ あわわわわわっ、お風呂イベントって『あんなこと』や『こんなこと』が起きるのよ、たぶん……ど、ど、どうしよ、心の準備が! でもでも、自分で言い出したんだし……うぅ……)
取り乱しているところ恐縮ですが、圭が病人の
一応断っておこう。ポロリはない。
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