第19話 気付いて欲しいことに気付く。
リビングで
体調が悪い
窓の外から
軽いものばかりなので問題はない。受け取った感じ着替えなどだろう。
大事な試合を控えた
早朝から夜遅くまでクタクタになるまでグラウンドで汗を流し、1年生ながら名門
「圭もマスクしないとだよ。わかんないことはいつでもラインして」圭は
「とりあえずベット、ファブリーズそこそこまいたから」
(体調が悪い時くらい気を使わなくていいのに……)
圭には
部屋の明かりをつけカーテンを閉め「出てるから着替えて」と言うと「手伝ってくれてもいいんですよ」とそれでも冗談を言おうとする。
圭は頭を撫で部屋を出た。撫でた頭が熱かった。
触れた手のひらを見ていると「バレましたか(てへっ)」みたいな顔しておどけて安心させようとする、根っからの良妻賢母。
こんな時くらい良妻賢母は休業して欲しい。
階段を降り、冷蔵庫から未開封のポカリを取り出しておく。冷たいより室温にしておく方が胃腸に負担が掛からないだろうとの配慮だ。
熱がある時は水分補給は欠かせない。ポカリばかりではなんなので、ペットボトルの麦茶とミネラルウォーターも用意した。
ノックをして部屋に戻ると「くたっ」とした
精いっぱい元気を装ってみたが限界のようだ。圭は早速水分を取らせた。
「薬は飲んだの?」と尋ねると首を振る。圭は
「おかゆ作ってくる。薬飲まないとだし……『あーん』イベントあるから、おとなしく寝てる事」というと「こくり」と頷いた。
部屋を離れる前に熱を測る――38度前半の高熱。
おかゆを作る間リビングの棚に冷えピタの買い置きがないか確認する。
圭はメモに冷えピタとポカリそれからゼリーなどを加えた。
出来上がったおかゆをトレーに乗せ、梅干しと一緒に部屋に戻る。いつもはリビングで使っている加湿器を今は
宣言した通り『あーん』イベントをしようと思ったがベットでするとなると、少し難しい。体を支えこたつに移動した。抱えた体から熱を感じる。
「今は着けてません、確認しますか? それとこういう時は『お姫様抱っこ』と相場は決まってます。善処してくださいね」と唇を尖らせる甘えん坊ぶり。
熱でしんどいくせに、看病してくれる圭におどけるくらいの良妻賢母的配慮は健在だが、今はそんな事より体力を回復させる方が先だ。
(お姫様抱っこか……
姉妹の中で断トツ小柄な許嫁を見て、元気になったらやってみようじゃないか『お姫様抱っこ』とやらを!
変な決意を圭は固める。
しかし熱に火照った頬、うるんだ瞳、軽く傾げた首が何とも言えない色気を醸し出していた。圭はブルりと頭を振って我に返る。
「その気になればいつでも、着けてるかどうかなんて確認できる」
「ほぅ……そうですか。強気ですね。でも果たしてそう上手くいくでしょうか。こういうの『逃がした魚は大きい』って言うんですよ」
「
いや、本気かも。
***
おかゆを半分食べポカリを2口飲み処方された薬を飲んだ。熱は相変わらず38度前半。おでこに貼ってあった冷えピタはカラカラに乾いていた。
新しい物にかえ
布団をかぶせ「必要なものを近くのコンビニで買ってくる」と告げると「おやすみのキスはないの?」とかすれた声で要求する。
どうも、
ドアノブに手を掛けかけていた圭は一度戻り、頭を撫でて「すぐに戻るから。今の状態おばさん知りたいだろうからラインしとく」と
今度こそ部屋を出ようとする圭の背中に「圭ちゃん……私……大丈夫だから……なびいたりしないよ……絶対だから」どうやら圭がまだ北見弟のことを気にしてると思ってるようだが、圭本人は
いや、片隅にはあるか。人はそんな万能じゃない。
「ありがと。スマホ見ちゃダメだからな」子供に注意するようなこと言ってコンビニに向かった。
(オレも大丈夫だって言えばよかった……)
軽い後悔と共にコンビニに向かう足取りは軽い。
コンビニは片道10分の場所にあった。自転車なら5分くらいだけど、圭は歩いた。吉沢家に
歩きスマホがいいワケじゃないので、移動しては止まりラインを送るを繰り返した
。
スマホを見ると
気が利いたことに
これで圭が個別に
(やっぱ
***
当面必要そうなものはコンビニで手に入った。
冷えピタやのど越しがよさそうなゼリーやプリン、のど飴スポーツドリンクなんか買って店内を後にしたところ、
圭は
それでも伝えないといけないことがある。
最初
これだけは伝えたかった。いや知って欲しかった。
いつまでも姉たちの後ろを付いて回っていた頃の
『ありがと。圭。妹をよろしくお願いします』
生まれて以来の付き合いだ。この返事で
(今頃、
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