第18話 公認されたことに気付く。
「聞いてない?
まぁ、もっともな理由だ。そのこと自体問題はない。
病人を隔離するのは感染拡大に効果的だし、病院から戻るまでインフルエンザの可能性も捨てきれない。
それに圭の親が反対するとは思えない。そこまで考えて圭はあることを思い出す。
「あっ……ウチの親、今朝からばあちゃんの家に行ってるぞ」
「じゃあ、
「ならねえよ、それより
肩をすくめて「37度後半ってとこね、朝の段階で」やれやれと
「あんた、リビングのソファーで寝たら? ここは
「ヤダよ、あんな汗臭くてお好み臭い女」
「毎日『お好みパーティー』してるワケじゃないでしょ? 汗は知らんけど。流石に女子をソファーに寝かせられんでしょ、いくらあんたが寒がりでも。それともここで
「とりあえず親には言っとく。どっちがソファーで寝るかは別として
そんなこと言ってたらどこにも行けないし。
まぁ受験前1週間は自粛を要請するけどと、お姉ちゃんみたいにクギを刺したり?」とおどける。
「お姉ちゃんだろ、十分?」その問い掛けには首を
ようやく「そうでもないよ」と返すに過ぎない。なにか思うところがあるのだろうか。
(そうだ。
***
「あっ、お母さん帰って来たかも」
窓の外を眺めていた
ふたりは慌ただしく部屋を出て階段を駆け下りた。お互いに行き来が多い両家族。
子供たちはお互いの家のどこに何があるとか、トイレの芳香剤まで知り尽くしていた。
「おばさん、
クルマから降りた三姉妹の母親吉沢七恵「通称ななちゃん」は圭の姿を見かけ腰に手を当てて少し怒った風だった。
「昨日はすみませんでした、その……
圭が通称「ななちゃん」が怒ってる理由を「受験生の娘を連れまわして風邪をひかせた」ことにあると思ったし、お怒りはごもっともだと思った。
しかし普段は温和な通称「ななちゃん」の顔に笑顔は戻らない。
「圭くん。ひとつ言っておきます」
「はい……」
「あなたとウチの
「はい」
圭は返す言葉もない。
許嫁ならより一層
会うだけなら部屋でいいはずだ。
「すみませんでした」
「わかればいいのよ。だからこれからは『おばさん』じゃなくて『ママ』って呼んでね、圭くん!」
「え……?」圭は
そんな破天荒な
「お母さん! 何言ってんの⁉ 誰もお母さんのこと『ママ』なんて呼んでないじゃない……」
「う……ん。ママね、男の子が生まれたら絶対のぜ~~ったいに、ママって呼ばせる予定だったの!」
「いや、お母さん? 圭産んでないからね? 産んでたら私と姉弟だから! あと1人称いきなり『ママ』になってて娘としてはキツイ……」
「お母さん。ばか言わないで。恥かくの私なんですから……」
カサついた声で
ニット帽をかぶり首はマフラーでグルグル巻き。マスクに冷えピタと完全装備。
「
「う……ん。正直しんどいです。インフルエンザじゃないのが幸いです。それでは圭ちゃん。お手間取らせますけど……」
「えっ?」
「嫁入り前の姉……
熱のせいか熱くうるんだ目で圭を見る。
***
「お母さん、いいの?
「ん……いいも何も、
「
ぱりっといい音を立ててせんべいをかじる通称「ななちゃん」はドラマの邪魔をされたからなのか、
「違うわよ。
「そんなもんかなぁ……」
圭と
(なんだろねぇ……この微妙な疎外感)
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