第8話 迷惑かもと気付く。
「ま、待って! 待ってください‼ お願い
「
「だって、きのう部活の後みんなと『お好み焼パーティー』だったから
「おまっ『知んなかったんだもん』って、かわいい女子限な? どうりで
圭は次女
圭に「頼まれても――」と言われ「なんだと!」と頭を
姉妹のミリタリーバランスが崩れた歴史的瞬間に圭は立ち会った。
「ホントにもう……」
腰に手を当てる
なんのこっちゃ。
***
「えっ、でもなに、ここ‼ 圭! なにこの『シャシャシャ』な感じ! うわっ~~リアルサラサラヘアーだ!」
渋々不機嫌を収めた
いや、元々脳筋女子の
「いやーごめん。
好き勝手大はしゃぎする
(まぁ……もう圭ちゃんにあんなことしないなら別になんだけど……)
良妻賢母は引き際も心得ていた。まぁ、すぐやらかすだろ、
「そんな訳で。私はシャワーを浴びて部活行くわ」
散々
「おい待て汚ギャル。お前の悪臭シャワーごときで洗い流せると思うのか? お前シャワ―を買いかぶってるだろ? ちゃんと湯船につかれ。世の中のために。どうすんだ、お前が『酸っぱ過ぎて』ハマ電停まったら」
圭の余計なひと言のせいでご機嫌で撤収しかけた沙世は一度戻ってきて圭の眉間にキツい一撃を食らわせ、何事もなかったように立ち去った。
ちなみに『ハマ電』とは圭たちが通学に使う私鉄のことだ。
「痛ッててて……」
「今のは圭ちゃんが悪いと思います、残念ながら」
ちょこんと座って夫のダメな点を
***
「迷惑じゃないですか?」
クリスマスの朝。油断すれば家の中でも息が白くなりそうだ。
圭は急いでエアコンをオンにし、こたつを暖めた。
「
肩をすくめて圭は笑う。あきらめに似た笑顔で。
「いえ……
まぁ、この辺は追々圭が何とかするだろう。そういう部分では頼れる男子だ。
「迷惑とかじゃないけど……」
圭は珍しく口ごもる。頬っぺたを「こりこり」と搔きながら。
(やっぱり地味な私と噂になるなんて嫌……だよね。シュン……)
チクリとした痛みを感じながらもその気持ちを表には出さない。それが
じゃあ、圭はどうなのか。
彼はまあまあ天然だ。色々こねくり回すように考える事もあるが、もう少し考えたら? と言いたくなる部分もある。色んな部分を持ち合わせているのが圭だった。
そしてその色んな部分のひとつが出た。
「しかし、どうしようかな……
(か、かわいい娘⁉ えっ⁉ え~~~~~~⁉ うそ⁉ そっち⁉)
圭が「ちょっと迷惑」な空気を出してたのは「かわいい」
地味な自分との『熱愛報道』を迷惑に思うだろうというのは、
こんなに緊張してるはずなのに「私まだ自信持てなくて……地味で自信なくて。そのもう一度『かわいい』って言ってもらえたら……自信つくかも……ダメ、ですか?」
欲しがり屋さんの『良妻賢母』は言葉にすることで『ふたりだけ負けん』許嫁無双状態の扉を開いた。
――ってなにそれ?
「か、かわいいと思うよ?
(言わせて置きながら……照れる私でしたとさ‼)
いや、開いたのはバカップルの扉かも知れない。
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