第3話 照れ屋だと気付く。
「どう……かなぁ……その、圭ちゃん? 変じゃないですか(どきどき)」
大げさではない。
わずかな時間だが、圭は渡ってはいけない『三途の川』という名の川を渡ったのか、はたまたまだ行ってはいけない『お花畑』を笑顔で駆けまわっていた実感がある。
つまり、この世の者ではない、少なくともこの世で自分に話しかけてくる訳がないほどの「
圭は動揺した。
(見た目で選ぶなら
混乱した圭は過去にした判断をいいように上書きした。彼は
動揺して混乱状態にある圭だったが、声は
間違いなく
「ええっと……(かわいい……)うん、変じゃないよ、似合ってる」
「そ、そうですか⁉ よかった……(てれっ)」
『ほっ』とする
いや、彼女の姉
「ごめんね、圭ちゃん。寒いの苦手なのに」
何気ない
「知ってたんだ?」
「そりゃ~~知ってますよ、お隣さんだよ?」
いや、眼鏡を外して髪を下したら「
あと、さっきの美容院への電話。意外にしっかりしていて、口調はおっとりだけど、お店の邪魔にならないように要点だけを聞いていた。
(
ほんの少し一緒にいただけでこれだけの新発見があった。時間を掛ければ
そう知らなかったことなんて言わなければ、相手にはわからない。
だけど、そこが圭が圭なのだ。
「ごめん、
「どうしました? 圭ちゃん」
「うん、オレ実は
今まさに
「それはそうですね、圭ちゃんは私のこと何も知らないですね。例えば――」
「例えば?」
「う~~ん……」
少し引っかかった。女子的には自分で考えて答えを出して欲しい所だが、ここは持って生まれた『良妻賢母気質』答えを指し示すのも『良き妻』の務めだと思った。
「例えばですね。
圭はタレ目でニッコリ笑う
それにその答えは簡単だ。単に他の姉妹ほどの絡みが
「ごめん、それは……その、
「ははっ、そう言えばそうですね。しゃべんないなら気付けませんよね(しゅん)」
知ってた事とはいえ、言葉にされると少し傷つく。だけど、
(私……妻だなんて……うぅ……恥ずかしい……)
『良妻賢母気質』とはいえまだ中学3年生。耳を真っ赤に染める妄想くらいする。
「うん。実はふたりきりで部屋で一緒になったのも初めてだろ?」
「そ、そうですね!(それ言っちゃいます⁉ どきどき……)」
妄想で高まった鼓動が圭に聞こえないか心配になるほど、
「女子とふたりきりで部屋にいるなんて、正直緊張してたんだ」
「な、なんで⁉ あっ……ごめんなさい。私、大声なんて出して。でも、
その言葉に圭は思わず立ち止まる。そして信じられない物を見る目で
「ど、どうしました? 私なにか変なこと言いましたか?」
「いや、ごめん。悪口みたいになるけど」
「悪口ですか? その……なにが?」
「あいつらは
「か、かわいい……(あわわわわわっ‼)」
この一言が
それが証拠に
(うぅ……かわいいなんて家族以外に言われた事ないのに……もう、圭ちゃんのばかぁ……ぽっ)
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