第2話 降臨したことに気付く。
【注意】
需要があるか再確認のための投稿です。需要がない場合は打ち切りの予定です。それでもいい方は読む進めてください。
***
「はい!
お行儀のいい
「えっと、
なんかひとつ違いなのだが、小学生の先生になった気分だ。それでも
「
ずいっと身を乗り出す。座る場所は勉強机かこたつ、それとベッドしかない。
場所はベッド。ずいっと身を乗り出されたら、場所が場所だけにドキドキする。圭の先生気分は早くも終了した。
「ど、どうしたの?」
幼馴染とはいえ、絡みが少ない系幼馴染。しかも部屋に二人きり。しかもしかもベットの上で身を乗り出している。距離が驚くほど近い。
「相談があります! 実は私が行ってる美容院がありまして。そこの美容師さんが腰痛で入院されまして……」
「はぁ……大変だね」
「はい! それでですね、ここからが相談なんですが、お母さんが『お正月前に美容院に行きなさい』って言うんです」
「でも、美容師さん入院してるんだよね?」
「はい。そこで
圭は彼女の姉のふたりの顔を思い浮かべた。性格は別としてここはセミロングを束ねた
「
何となく答えたのだが
「オレ知ってるよ。
「えっ、ホントですか! うれしい……圭ちゃん。今日とかいいですか? 急……ですか?」
眼鏡越しに上目使いで遠慮しながら尋ねる。圭は用事もないし……いや、今日は用事を入れるなと彼の母に厳命されていたのだ。
圭の返事を待って、
(
それからひとつ気になったことがあった。
(眼鏡……何回もズレてるけど……)
圭は
「実は眼鏡落としちゃって……鼻のところの金具が曲がっちゃいました」
「眼鏡屋さんとか行かないと。ほら、
「そうなんですけど……実はコンタクト持ってるんです。でも、その……急に眼鏡やめるの恥ずかしいって言うか……」
「もし、使用感が合わないとかじゃないなら、眼鏡が
「それもそうですねぇ……わかりました。恥ずかしいですけど、笑わないでくださいね?」
立ち上がってコンタクトを取りに帰ろうとした
「ツーショットですか?」
「ごめん、母さんが『ちゃんと仲良くしてるか』確認したいんだって。もし撮るの忘れたらお年玉大幅減額なんだ」
「まぁ! それは大変! 私でよければ――」
おさげで眼鏡をして、華奢な体つき。スタイルがいい
「あぁ……ごめん。自撮りってどうやったらいいんだろ」
自撮りなど縁のない世界で生きてきた圭。自分のスマホにそういう機能があるのは知っていたが、使ったことがないし、この先使うことはないと思っていた。
「これはですね……」
「この写真送って貰っていいですか?」
「いいよ、あっ……ごめん。オレ
長女
まぁ、幼馴染とはいえ、学年が違うのだから知らなくても別に変じゃないが、改めて「絡みがなかった」ことを圭は再認識した。
「許嫁というか……明らかに兄妹だよなぁ……」
写真の中のふたりはどう見ても、なかよし兄妹にしか見えなかった。写真を見ながら圭は階段を降り「指令」の結果を彼の母親に見せ「出かけてくる」とだけ告げて家を出た。
風は吹いてないがクリスマスイブだ。真冬にしては日差しが暖かいがそれでも寒いのが苦手な圭にはつらい。
玄関を出てわずかながらある門扉までの距離を歩いていると、白い息を吐きながら駆けてくる女子の姿が目に入る。
「お待たせしてすみません。圭ちゃん」
ニコリとし、ほんの少し首を傾げるその仕草には見覚えがある。しかし――
「その……
「はい!
眼鏡を外しコンタクトにした
冬の澄んだ日差しの中で黒髪はきらきらと光って、圭の前には目をこすりたくなるほどのまだ幼さが残る女神が降臨した。
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