定規の使命(定規座)

 俺は定規じょうぎ

 高身長で、金属で出来ていて、硬い。3Kの定規だ。

 ただ、硬いことがわざわいして、物を測るという役目のはずが、カッターで物を切る用途に使われてばかりいる。


 ある冬の日。

 俺は珍しく本来の用途で使われる時が来た。

 しかし、喜んだのつか、俺は冷たい雪にぶっ刺された。


「今、積雪二十三センチだって」


 確かに測ってはいるが、俺の求めてるのはそれじゃねえ!

 こんな家からはおさらばだと、俺は暖かい夏の夜空に逃げ出した。

 俺はここで、心ゆくまで星々の距離を測ってやる。


 だが、自分はずっと高身長だと思っていたのに、ここじゃあ長さが全く足りなかった!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る