友達の定義
彼は明るくて優しくて、いつもみんなの中心にいた。けれど、
ある日の放課後、僕がゴミ捨てに行くと、校舎裏から声がした。
誰かが告白していると思い、気不味くなって方向を変える。その時、後ろから彼の声がした。
「悪い。邪魔したな」
話しかけられて、僕は振り向く。その時、泣きながら走り去る女子を見て、彼が告白を断ったのだと分かった。
「こっちこそ、タイミング悪くてごめん」
僕は彼に頭を下げると、その場から慌てて走り去った。
僕がゴミ捨て場から帰って来ても、彼はまだそこにいた。
「あの子、俺の笑顔が好きなんだってさ」
僕は、唐突にそんな事を言われて戸惑うが、彼は気にせず先を続けた。
「なあ。お前から見て、俺ってどう映るの?」
「え? 何で僕に?」
僕は、彼が
「俺の事、いつも見てるよな?」
バレていたのかと、鼓動が早くなる。否定も肯定も出来ず黙っていると、彼は悲しそうに僕を見た。それから「何でもない」と言って立ち去ろうとする。
僕は
「え?」
驚いたように振り向く彼に、僕は告げる。
「いつも寂しそうだなって……でも、気にしないで」
話している途中で後悔し、言い訳のように付け足す。しかし、彼は嬉しそうに僕を見た。
「なあ。友達になってくれない?」
「え、何で?」
意味が分からず聞き返すと「俺、友達いなくて」と言って
「嫌ならいい」
友達なら沢山いるだろうと言いかけるが、いつも寂しそうな彼を思い出し、僕は慌てて引き留めた。
「嫌じゃない」
そう言うと、彼はありがとうと微笑んだ。
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