夢見る女子高生

 朝目が覚めたはいいんだけど、明け方までネット仲間と騒いでたから、あんまり寝てなくて頭が働かない。それでも、今日は期末テストがあるから行かねばならん。眠いのにテストで、勉強もしてないのにテストで、もう泣きたい通り越して、異世界転生したい。

 でも、実際には現実逃避している場合じゃなくて、親に怒られながら家を追い出される羽目になる。

「テストの点が悪かったらスマホ没収だからね!」

 でも、確実に赤点の未来しか見えない。しかも、私は冬の寒空に、食パンくわえたままで放り出された。もう、私はヤケクソで走り出した。

 曲がり角で金持ちのイケメンにぶつかって、気に入られて玉の輿になる未来はどこかにないの? 食パンくわえてるって事はそういうシチュエーションでしょ?

 もう、そんな夢でも見てないと、スマホ没収が頭から離れなくて自殺しそう。

 でも、そんなのは妄想でしかなくて、二つ目の角を曲がりきったけど、誰にもぶつかんない。まあ、脂ぎったオヤジにぶつからなかっただけでも良しとしよう。

 そんな事を考えながら、私は最終コーナーを曲がる。

 そこでまさかの事件発生!

 これは金持ちってのが目の前に現れて、私にぶつかった! やった、これで私は勝ち組だ!

 って現実逃避をしてみたけどむなしすぎる。

 だって、ぶつかってきたのは高級外車で、後に残されたのは、高級外車にひかれて、悲惨な事になった元私だったもの。

 自殺とか言ったけど、そんな事考えてもいなかったって! しかも、今更高級車からイケメン出てきても遅いって!

 はあ。転生して異世界ハッピーライフ始まんないかな……。

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