待ちぼうけ

 ザーザーと言う水の音が、部屋中に響く。


 しずくは窓の外をみて、ため息を吐いた。

 今日は、恋人が部屋に来るという約束の日だった。

 けれど、いつまで待っても来る様子はない。

 もう、約束の時間は五時間も過ぎている。

 ここまで来れば、雫にも彼が来ないと言う事は分かっていた。

 腕によりをかけて作った料理も、テーブルの上で冷え切っている。


 電話が鳴らない。

 メッセージも来ない。


 そこで、雫は思い出す。

 ああ、彼はもう死んでいるのだと。


 バスルームから聞こえるシャワーの水音が、部屋中にザーザーと響いていた。

 

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