第二十三話

「良い結婚式でした」

 ベッドで思春様にそういわれる。

「全然だよ。噛みまくってたし、緊張しまくってたし。二回目なんだからさ、もう少し楽にできると思ってた」

「一回目に比べればよくなっていると思いますよ。誓いのキスで気絶しなかったのですから」

「……、あれは、その、ごめん。今回は頑張った」

「はい。頑張っていただきました。褒めて差し上げましょう」

 思春様に頭を撫でられる。

「えへへ、思春様に褒められちゃった……きゃ……ぁ」

「では」

 そういって、がばっと私は思春様に仰向けに押し倒される。

「もうそんな気分なの?」

「この部屋に入った時から。もう、良き人を抱きたくて仕方ありません」

「……、嬉しい」

 そういって、私は静かに目を閉じた。


 抱いて抱かれて、二度目の初夜は最高潮だ。私は甘美な嬌声を上げ、思春様は優しく私を攻め立てる。指をなんども敏感なところへ押し当て、私を温かで眩しく、とろけるような快楽へいざなう。されるがままだった。それが、たまらなく幸せだった。だから、自分から腰を振っていることになんて、まったく気づかない。

「ふぅ……ぁ」

 長い長い快楽の果てに、ひと段落ついたところで、思春様の指が離れる。

「少し激しすぎましたか?」

 甘い吐息が、私の鼓膜を震わす。

「ぁ、ん……、ひぃ……ぅ」

 でも私は、言葉にもならない言葉を発しているだけで、思春様になにかをいわれた、ということを認識するだけで精いっぱいだった。

「やはり、激しすぎたでしょうか」

 そっと、思春様が私を抱く。そのぬくもりが、また私の性感帯を刺激して、淫らにを濡らしていた。

「今日はおやすみなさい、良き人よ。私としたことが、我を忘れて求めてしまいました」

 また、鼓膜が震える。そして、私の頭が撫でられる。

「し、しゅ……、ん、さぁ……ま……」

 それだけ口にして、私は夢の中へと吸い込まれていった。

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