第八話

「久しぶり、パパ」

「ああ」

 雑に家に上がり込んできたのは、パパだった。

「どうしたの?」

「ちょっとな」

「また盗み?」

「まあ、そんなとこだ。今日は、思春を借りに来た」

「そんなに大きな仕事なの?」

「まあな」

 それだけいって、パパは思春にめくばせする。

「……、わかった。支度をする。ちょっと待っていろ」

 思春様は、ごそごそと身支度をし始めた。

「時間、かかりそう?」

「少しな」

「私は、待ってればいい?」

「ああ、少し待てば、いつも通りだ」

「やった!!」

「ほら、つぼ漬けだ。あのばばあ程上手くはないだろうけどよ」

 ぶら下げたつぼ漬けが入った袋を、キラキラした目で見る。

「支度、できたぞ」

「じゃあ、ちょっと行ってくる」

 そういって、二人は出かけていった。

 入れ違いに、おばあちゃんが帰ってきた。

「あれ?おじいちゃんは?」

「まだ戦場ですよ。しかし、あらかた片付いたので、私だけ先に帰されたわけです。もう少しで帰ってきますよ」

「うん。さっき、パパと思春様が出て行ったから、ちょっぴり淋しかったんだ」

「……、そうですか」

 ぼそっとおばあちゃんは呟いて、私のほうへ向き直る。

「ちょっと話がある。来てくれないか」

 促されて、私はおばあちゃんとリビングで向かい合って座った。

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