口車/第23回のお題「車」
正当化できない恋をした。
学生時代、同級生の男子たちは恋愛対象外だった。
「大人びてる」とか「ミステリアスな雰囲気だよね」とか、勝手に高嶺の花扱いして、私を遠巻きに見ているだけだから。
大人になってからも、「彼氏が途絶えたことがないらしい」とか「手練れみたいよ」とか、勝手に恋愛経験が豊富だと噂して、彼らは私を遠ざけた。
誰も踏み込んでこない。誰も私の真ん中には触れない。
けれども、あの人だけは違った。
「私はただ、あの人の口車に乗っただけ」と、許されない恋の始まりを見て見ぬふりをした。
そして、まんまと…。
出よう出ようともがいても、抜け出せない沼の中。
ここから清らかな蓮の花は、絶対咲くことはないというのに。
「毎月300字小説企画」参加作品集 想田翠/140字小説・短編小説 @shitatamerusoda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。「毎月300字小説企画」参加作品集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます