『ピンクワンピース・コンプレックス』/第16回のお題「憧れ」
始まりは淡い憧憬だったように思う。
でも、いつしか欲しくて欲しくてたまらなくなってしまった。
赤いタータンチェックのスカート。晴れた日の青空のように綺麗な水色のフリルブラウス。発表会で着た光沢のあるピンクのワンピース。
「いいな」と羨ましくてしかたなかった。
だけど、お下がりとして手に入った途端、そのどれもが色褪せて見えた。
ピアノは『こどものバイエル』上巻で嫌になってやめてしまったから、お姫様のドレスみたいなワンピースを着て行く場所なんてなかったし。
姉を傷つけてまで手に入れた男は、私になびいた時点で魅力を失っていた。
憧れていたのはその男でもお洋服の数々でもなくて、お姉ちゃん自身だったとやっと気づいた。
「毎月300字小説企画」参加作品集 想田翠/140字小説・短編小説 @shitatamerusoda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。「毎月300字小説企画」参加作品集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます