『骨折り得』/第6回のお題「折る」

「骨が折れてるかも。今すぐ来て!」

 幼馴染みから電話があった。

穏やかな彼からはDVが想像できないが、見た目だけでは判断できない。

人間には二面性……いや、多面性がある。

 

 引越しを手伝った、同棲開始日以来の訪問。

インテリアは彼女の趣味全開で、男性が住んでいる気配さえ感じない。


 どうやら軽い打撲のようだ。大袈裟に騒ぐところがある子だから、想定内。

「誤ってぶつかってしまっただけなんです」

痴話喧嘩のはずみか……。


 ふと見ると、脚を折られた椅子が目に入った。

あぁ、物に当たるタイプか。立派なDV野郎じゃないか。

 

 彼女の幸せが俺の幸せ。

そそっかしくて怪我が絶えない君のために整形外科医になった俺のところへおいで。

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