『骨を折って、祈る』/第6回のお題「折る」

「1年に1人は誰かしら骨折している子いるよね?」

 小学生男子を持つママ友あるあるらしい。

他人事だと思っていたのに、おてんば長女が足を骨折。

通学に徒歩22分かかるので、車での送迎が許可された。

「ラッキー」

 調子のいい次女が後部座席に乗り込む。

新学期早々、ギプスのヒロインは一躍人気者になった。


 登下校時刻に合わせて仕事の調整、身支度のサポート、入浴の介助……

骨を折ることが増えたのは、私の方だった。


 昇降口に巣を作った親燕が餌を運ぶ姿が自分に重なる。

 「折る」と「祈る」は似ている。

子どものために骨を折ることは、祈りに似ているのかもしれない。

受け取った愛情をいつか誰かに渡せる人になりますように、と。

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