『三姉妹』/第5回のお題「待つ」

 青空を泳ぐ鯉のぼりを見て、野球強豪校の玄関に置かれた優勝旗、或いは月面着陸に成功した際に掲げられたアメリカ国旗のようだと感じた。


 一人目の妊娠時には、性別発表ケーキを夫にカットしてもらって一緒にはしゃいだ。「一姫二太郎が理想だな」と誕生を待ちわびた。

 二人目は二学年差で、食卓で何気ない会話の中で夫に伝えた。「姉妹だとお下がりしやすいよね」とクリーム色のベビーウェアを洗い直した。

 六年が空き、待望の三人目の性別を伝えた時の家族の顔が忘れられない。

命は等しく尊いものであるはずなのに……。


 誰よりも、安定期に入ってエコーを見た時、あの時の家族と同じ顔をしていた自分自身をいまだに許せないでいる。

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