おまけ 意地っ張りの解除方法

 私はユーリお姉様が大好きだ。もちろんお母様もお父様も、カインお兄様、ロイお兄様とイアお姉様も大好きだ。でも、ユーリお姉様は少し違った、皆私を大切にしてくれて愛してくれる、同じなのに何故か違うと感じた。

怪我をしたとき必ず助けてくれるのはユーリお姉様だった。私はクリスピア家の三女、例え政治には殆ど関わらないとしてもお母さんとお父さんの顔に泥は塗りたく無かった。だから、少しの怪我ぐらい大した事ないと思いたかった我慢をしたかった。なのに、ユーリお姉様は必ず私の前に出てきて私を治す、傷跡も残らないように綺麗に。

「お姉様、こんぐらい大丈夫です。私は…」

「何が大丈夫なの?こんなに血を流して、貴方は女の子なんだよ。お願いだから無理をしないで。」

「私は無理なんかッ!」

「してる。そうでしょ?何時もの様に平気な顔をしてるけど、お見透しだよ。」

「何が分かるんですか…ユーリお姉様は長女で政治に関わって、私なんか何も…無い…。」

自分の無力さに気付くとまぶたが熱くなると同時に、視界がぼやける。そして視界が真っ黒になる。

「カノン…貴方には私達を密かに支えてる強い力があるんだよ、だから何も無いなんて言わないで。」

「私が…ユーリお姉様達を…?支えてる、です、か?」

「そうだよ…私達はカノンのその力にいっつも助けられてるんだよ。」

ユーリお姉様に抱き締められながら、その言葉に私はまた涙を流す。ユーリお姉様は嘘が上手だ、でも嘘だと分かっていても安心する自分の居場所を見つけた気がするから。三女で必要とされない私の居場所はいつもユーリお姉様の隣だった…そしていつも助けてくれるのはユーリお姉様だった……。いつも、必ず…。




「んんぅ…ふあぁ。久しぶりに見たなぁ夢。それにユーリお姉様も。」

私は3年前の事件によって誘拐された、ここは奴隷商売所だ。3年も経っているが未だに私は奴隷として売り出されない。……もう、3年かぁ。必ず助けてくれるユーリお姉様はまだ来ない。でも、信じてるきっと助けてくれるってだって言っていたから何があっても助けに来るとそう約束したから。

 ここが、領地なのは分かるけど…領地の中にある、どの奴隷商売所なのか分からないな…。牢屋みたいな所に監禁されてる私は静かに動き見張りにバレないよう脱出口を探す。

光が射してこないことから、ここが地下であることが分かる、中から見た感じ見張りのいる所には扉があり、そこからの光が唯一の光源だ。

暗いなぁ。どうして灯りを設置しなかったんだろう。お金が無かったのかな。はぁぁ、暇だ。いやそんなことを言ってる時間は無いんだけど私の力じゃ檻を開けることも出来ない。

ふとしたら扉の外から悲鳴、または命拾いの声がした。同時に私の知ってる声、ユーリお姉様の声がした。

「こんなところにユーリお姉様が…?」

そう思った瞬間目の前の扉が壊され雷を纏った剣を持った女性、ユーリお姉様が居た。

助けに…来てくれたの…?安心から腰が抜ける。

「カノン!大丈夫?」

「ユーリお姉様…。」

傷だらけだった私をみてユーリお姉様は悲しそうな顔をする。ユーリお姉様は私に【ハイヒール】をかけて怪我治した。

私は安心すると今まで意地を張っていたのが解除され恐怖が襲ってきたそれによって目からは涙が流れてユーリお姉様に抱きついた。それをユーリお姉様はゆっくり手を背中においてくれ抱きしめてくれた。

やはり、ユーリお姉様の側にいると落ち着く安心するのだ。恐怖、不安、全てが消し去る。私にとってユーリお姉様は一番のお姉様だ。それに、約束を絶対破らない。必ず助けてくれるそんなお姉様が私は大好きだ。

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旅は人と人の仲を繋げる魔法がかかっている。 柏陽シャル @black_person

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