第61話 報復するのなんて、海外では普通ですよ?
「ア、アリス!?そ、そこに居るの?」
「はい、居ましたよ、数刻ほど前から」
学校のテストでアリスと同得点を獲得することができたソフィアでも、このアリスの行動は予想外だったんだろうか。
「私が居ないのをいいことに望宮さんに意味のわからないことを
「それ言い方悪いだけ!私本当のことしか言ってないから!」
「私が犯罪者になる、というのがあなたにとって本当のこと、ですか」
「そ、それは…」
「ですが、完全に間違っているとも言えません、もし望宮さんが誰かに泣かされるようなことになれば私は殺害でもしたいと考えますが、そんなことをしても望宮さんが悲しむとわかっているのでしません」
「アリス…」
良かった。
ソフィアも言っていたことではあったが、やっぱりアリスは殺害なんて実際に行動に移したりしないし、犯罪者にもならない。
「じゃあもしアリス以外の女が望宮のこと脅すとかして浮気とかしたら?」
「その相手の女性を殺害します」
「アリス!?」
さっきとは言っていることが反転しているアリスに、俺は驚く。
殺害って…
「ついさっき殺害はしないって言ってたのはどうしたんだ?」
「望宮さんの浮気相手ですよ?殺害しない理由なんてありません」
「いや、でもそれで犯罪になって俺と会えなく────」
「ですから、そんなことにならないためにも、望宮さん…絶対に浮気などしないでくださいね」
アリスからの圧がすごいが…そんなことは言われなくてもわかっている。
「もちろんだ」
「…本当にわかっていますか?」
…え?
アリスは、何故か怒っている様子だ。
「望宮さんにこのようなことを言うのは本意ではありませんが、先程のソフィアの話術に言いくるめられるようでは、まだその面において望宮さんのことを信頼するわけにはいきません」
「俺が浮気するって言いたいのか…?」
「望宮さんの優しさを利用して、先程のソフィアのような悪女が望宮さんのことを惑わしてくるかどうかが不安なのです」
「別に私、悪女じゃないから」
空気を読んでずっと沈黙していたソフィアだが、そこだけは否定したかったのか口を挟んできた。
「ていうかアリス、優位に立ってる気で居るみたいだけど、今アリスは私と望宮からはドアを一枚隔ててるってこと忘れてるの?望宮は今ドアノブに手錠で拘束してあるから身動きは取れないし、まさか望宮の家の壁を破壊するなんてことはできないでしょ?」
「その問題なら解決しています」
それから数分間、アリスの声が聞こえなくなった。
「…今までアリスが解けなかったことなんてないけど、流石に今回は────」
「今回も私に取ってはお手軽です」
「アリス!?」
ど、どうやってここに…?
「とても簡単なことです、私は窓から侵入しました」
「窓からって、ここは二階だ、どうやって?」
「二階程度、登れなければ望宮さんの恋人になど相応しくありません」
俺の恋人のハードルはそんなに高くない。
「さて…ソフィア、先ほどは随分と楽しそうでしたね?」
アリスは殺気を放っている。
…止めないと、まずそうだ。
「望宮さんの恋人になろうとした罪は重いです、なので少なからず報復をさせていただきます」
「報復!?」
「報復するのなんて、海外では普通ですよ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます