第59話 有言実行なんて、海外では普通だから

 ね、狙ってる…!?

 …ということは、やっぱりソフィアは俺のことを睡眠剤で眠らせようとしていたように俺のことを拉致したり監禁したり、そうでなくとも何かしらの形で俺に報復するつもりなのか?


「許してくれ!!」


「許してって、何の話?」


「…ソフィアは、睡眠剤を俺が好きな食べ物に睡眠剤を盛って俺に食べさせたいんだろ?ってことはそれぐらい俺に対して怒ってるってことだ、でも俺がソフィアに何をしたんだ?本当に覚えが無いんだ」


 俺は必死にソフィアが何に怒っているのかわかっていないなりに弁明をした…が。


「え、別に私怒ってないんだけど」


「…え?」


 完全に俺の何かに対して怒っていると思っていたソフィアだが、本人は真顔で怒っていないと主張してきた。

 …ん?


「怒ってないなら、どうして俺に睡眠剤なんて盛るんだ?それに、さっきも俺のこと狙ってるって…」


「そ、それは…も、望宮だって、今までの人生で異性に睡眠剤盛って────とか、色々考えたことあるでしょ?」


「色々ってなんだ?そもそも今までの人生で異性に睡眠剤を盛ってどうこうしたいなんて考えたこともない」


「…望宮って変わってるよね」


「変わってるのはソフィアだ」


 どうして俺の方が変わっていると言われないといけないんだ、どう考えたってこのケースではソフィアの方が変わっている。


「はぁ…私が望宮に睡眠剤盛って何をしようとしたのか、どうしてそんなことをしようとしたのかまで全部説明してあげてもいいよ」


「なら────」


「でも、望宮がその話を聞いたらその次の瞬間には私は今度こそ手を抜かずに行動するけど、それでもいいの?」


 手を抜かずに…行動?

 何をするのかわからないが、とにかく今の俺にはソフィアのことを知ることが大切だ。


「問題無い、話してくれ」


「睡眠剤を盛って望宮のことを眠らせようとしたのは望宮のことを拉致とか簡易的な監禁をして二人の時間を増やしてもっと会話とかしたいなって思ったの」


「…え?会話するためだけに睡眠剤を盛って俺のことを眠らせようとしたのか!?」


「そうだよ?…他にもあるにはあるけど、第一目的はそれ」


「ただ会話がしたいだけなのにどうして一度睡眠させられて拉致されて、さらに監禁までされないといけないんだ?」


「アリスだよ、アリスが居たら普段の会話なんてできないもん」


 確かにそれはそうだが…でも。


「ソフィアは別に俺と会話なんてしなくても良いはずだ、それなのにどうしてそんなことをしようと思ったんだ?」


「望宮のことを自分でもなんでかわからないけどいつの間にか好きになっちゃってたから」


「…は、は!?す、好きって────」


「私は言われた通り答えたから、私も言った通り行動に移すよ、手抜きなんて無しでね」


「ちょっと待────」


 次の瞬間、俺の手首には手錠らしきものがかけられた…おそらく本物ではなくおもちゃだが、それでも俺が抜け出せないほどにはしっかりとしている。

 そしてソフィアはその手錠のもう片方を俺の部屋のドアについているドアノブにかけると、俺に言った。


「有言実行なんて、


 …俺の頭は、もはやこの状況についていくことすらできていなかった。

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