第43話 私も強引にさせていただくのなんて、海外では普通ですよ?

 …一番最初、アリスに告白された時は、アリスのことを全然知らなかったからその告白を断って。

 次にアリスに告白された時はアリスのことを少しずつわかってきて嫌いで無いことは確実だったが、恋愛的に好きなのかと言われればそれはまだわからなくて。

 そして三度目…今だ。


「アリス、一つ確認したいことがある」


「はい、なんでしょうか」


「…アリスのその気持ちは、本当に恋愛感情なのか?」


「…はい?どういうことでしょうか」


 アリスは明らかに一瞬怒りを見せそうになったが、すぐにそれを隠した。

 だが俺は構わずに言う。


「そもそもアリスが俺のことを好きになったのは、俺が道案内をした時なんだよな?」


「はい、その時の優しさや会話に惹かれました」


「だが、俺はあの時特段優しく対応したりはしてない、本当にただ軽い会話と道案内をしただけだ、つまりそのくらいのことをしてくれる人は今までの人生で会ってると思うんだ」


「……」


「だから、アリスのその気持ちは、日本っていう慣れない環境の中でたまたまアリスのことを助けた俺に感謝を抱いているだけで、それは恋愛感情じゃ────っ!」


 アリスは俺の胸ぐらを掴むと、俺のことをベッドに叩きつけるようにして俺のことをベッドに倒した。

 …ベッドだったから痛みは無いものの、もしコンクリートだったら普通に怪我をしているほどの勢いだ。


「たとえ望宮さんであっても、私のこの気持ちを否定しようとするのは許せません、望宮さんは知らないんです、私の────」


「見つけたー!」


「うわっ!?」


 俺たちのベッド周りのカーテンが勢いよく開かれると、そこにはソフィアが立っていた。


「二人の後追ってたら曲がり角で見失って色々教室回ってたけどまさか保健室の、それもカーテンの中なんて、それは見つけられるわけ無いわけだよね」


「ソフィア────」


「あなたという人は、本当に邪魔してくれますね、ソフィア」


「そんなことより…望宮!どうしてアリスの方を優先するの!?」


「え、え…?」


 話が急展開すぎて頭がまとまらない。

 さっきアリスは何を言おうとしていたんだ…?

 というか今日からソフィアの様子もおかしい。

 本当に何もわからない。


「よくわからないが、とにかく俺はアリスのことを優先したっていうか、ソフィアも見てただろ?俺はアリスに腕を引っ張られて連れてこられたんだ」


「そうだけど!」


「…ソフィア、私はただでさえ今あなたに憤慨しているんです、これ以上私のことを怒らせないでください」


「え、何で怒ってるの?」


「あなたが私よりも先に軽々と望宮さんの腕を組んだからです」


「何言ってんのアリス、腕を組むのなんて海外では普通だったじゃん」


「それは相手も承諾している場合の話です、あなたが一方的に腕を組むことは普通じゃありません」


「は…ソフィア!?」


 友達でも腕を組むのなんて海外では普通とソフィアは言っていたが、それは承諾がある場合だったのか…!


「え、でも私登校の時にも望宮の腕組んだけど拒まれなかったよ?」


「それは!ソフィアが海外では普通とか言うからだろ!?」


「朝…私が少し朝食に張り切りすぎて望宮さんと共に登校することができなかった間に、そのようなことがあったのですね…」


 アリスがまたも目のハイライトを消した。


「この世は理不尽ですね、私は少しずつでも望宮さんに振り向いていただけるように努力していますのに、そのような強引手法が許されるのであれば────」


 アリスは素早く上着を脱ぐと、言った。


「私も強引にさせていただくのなんて、?」

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