第9話 初恋で結婚なんて、海外では普通ですよ?
俺と明星さんは、進馬先生の裁量によって二人きりで話すという場所と遠すぎない場所という条件のもと体育倉庫で話すことになった。
「望宮さん!私の全てを教えて差し上げます!何を知りたいですか?なんでも教えて差し上げます!」
…教えて差し上げますって言われても、正直こんな質問形式じゃなくて日常で知っていきたいが。
それを言ってもなんだかんだ反論されそうだし、ここはとにかく明星さんのことをより知れるような質問をしよう。
「休日の過ごし方は?」
「普段はトレーニングをしたりお勉強をしたりですが、正直お勉強についてはもう必要ないと思っていたので、今後はその時間を望宮さんに関することに使いたいと思います」
「…好きな食べ物は?」
「今までは主に洋食であれば基本的にどのような品でも好きでしたが、これからは将来共に過ごしても支障がないように望宮さんと同じ舌に変えていきたいと思います」
「それはダメだ!明星さんは明星さんだろ?そこだけは曲げないでくれ」
俺がそう力強くいうと、明星さんは頬を染めてか細く。
「は、はい…!」
と言った。
…しまった、なんだか変な空気にしてしまった。
当たり障りないことを聞いていてもダメだ、もう少し踏み込んだことを聞いてみよう。
「…初恋、とかは?」
「その方はとてもカッコよく、お優しい方です」
なんだ、もう初恋だった人がいるのか。
なら話は簡単だ、その人と俺を比べてもらって、ちゃんと目を覚ましてもらおう、そのためにはもっと深く思い出してもらう必要がある。
「そうか、いつ出会ったひとなんだ?」
「数日前です!」
「…え?」
俺はここでもう嫌な予感がしていたが、俺がその予感について考える前に、明星さんがそれを口に出した。
「もちろん望宮さんのことです!私は過去に好きになった殿方なんていません!望宮さんが初恋なんです!」
「そんな…ことあるのか?」
こんなに長い間人生を生きてきて、初恋をしたことがないなんて。
「はい、それとも…もしかして、望宮さんはどなたか過去に好きになったご経験でも?」
明星さんは俺の瞳のさらに奥を覗き込んでくるような目で俺の目を見てきた。
「無いよ、俺は無いけど、女子は小さい時とかから恋愛してそうなイメージだったから」
「望宮さん…初恋が高校生で、その殿方と結婚するのなんて、海外では普通ですよ?」
「だから結婚って言われても────っ」
「望宮さん、二つに一つです、私のことを好きか、嫌いか、です」
明星さんは俺のことをマットに押し倒すと、こっちにゆっくりと歩いてきながらそう言った。
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