第7話 殿方を守るなんて、海外では普通ですよ?

 休日明け。

 朝学校に登校しようと家の前に出ると。


「おはようございます!望宮さん!」


 当たり前のように明星さんが居た。

 俺の家の居場所が知られていることから、このことを考えなかったわけではないが、それにしたってそんな当たり前みたいな感じで居られるのはこっちも戸惑う。


「おはよう…なんで朝から俺の家の前に居るんだ?」


「せっかく家の場所を知っているのですから、よくよく考えれば一緒に登校しないのはもったいないと思いました!」


 …俺自身が家の場所を教えたならまだしも、ストーカーされてバレたからその申し出に対して素直に頷くことは難しいが、断っても来るだろうし。


「…わかった、行こう」


「はい!」


 こうして、俺と明星さんは一緒に学校に登校した。

 そして一限目。


「あー、今日の一限目は、男女合同で体育を行う」


「え…?」


 高校生にもなって男女合同で体育…?


「合同って言っても、ただのドッジボールだから、そこまで男女差が出るものじゃない、安心してくれ」


 進馬先生はひとまず生徒のことを安心させると、軽い説明をした。


「今回のドッジボールは、クラスの軽い親睦を込めたものだから、授業だということは忘れてただ仲良くドッジボールをしてくれればいい、男子は女子に当てるときは手加減するように」


 男子全員が「はい!」と声を合わせた。

 このクラスは基本的に雰囲気がいいなとずっと思う。


「では各々着替えたら体育館へ向かうように」


 そうして俺たちは男女ともに更衣室に入り、着替えを開始した。

 俺は着替えが終わると、更衣室の前に出た。


「お着替えお疲れ様です、では体育館へ向かいましょうか」


「あ、あぁ…俺のこと待ってたのか?」


「はい!」


 はいって…まぁいいか、どうせ何を聞いたって海外では普通ですよ?と言われるのは目に見えてるしな。

 俺と明星さんは一緒に体育館へ向かい、生徒が集まるのを待ち、やがて生徒が集まるとドッジボールが始まった。


「同じチームですね」


「あぁ」


 俺と明星さんは同じチームになったが、正直相手チームの方が運動部の人が多いことから、勝ち目は薄そうに見える。

 現にこっちのチームの人は次々にボールを当てられてしまっている。

 そして…


「悪いな!望宮!」


 と、俺にもボールが投げられてきた。

 …ちょっと痛そうではあるが、避けられそうもないためここは当たるしかない。

 …かと思ったが。


「あ、明星さん!?男子のボールを…!?」


「殿方を守るのなんて、?」


 明星さんは男らしいかっこいい顔で、平然と言った。

 …こんなにかっこいい顔、初めて見たな。

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