その16。「教えて! フレイヤ先生!」
昨日の事がバレていると知った後、俺とシンシア様は中庭の少し人目につかない場所に移動していた。
人目につかない所に来た理由は目の前には美女姿のフレイヤだ。
彼女の姿を誰にも見られるわけにはいかないからな。
ついでにフレイヤに火魔法の高等技術の【陽炎】? とか言う魔法で辺り一帯に幻影を映し出しているらしく、周りからはフレイヤの姿は見えないんだとか。
「それでは主とシンシアに妾が火魔法を教えよう」
「「宜しくお願いします!!」
俺たちは元気よく返事をする。
フレイヤも地味にノリノリで、得意げに頷いていた。
「うむうむ。ではまずはこの一帯を火の魔力で満たそうか」
フレイヤはそう言うと同時に、周りの景色がゆらゆらと揺れて気温が上昇している様な気がする。
どうやら俺だけではないらしく、シンシア様も暑そうに額の汗を拭っていた。
そんな俺達にフレイヤは言う。
「今妾達の周りは火の魔力で満ちておる。主らが暑いのは自分の魔力では無いからだな。自分の魔法は熱くないであろう?」
そう言われてみると確かにそうだな。
暴発とかしていない限りは自分の魔法が厚いと感じた事ない。
「それでは最初に、主とシンシアには妾の火の魔力を自分の体内に取り込んで制御するのだ。自分の制御下にある魔力は自分に害を与えない」
正直こんな事をして何か意味があるのか分からないが、取り敢えず言われた通りにしてみよう。
俺は深呼吸をして、座禅を組むと、身体中の魔力回路からゆっくりと周りの魔力を取り込んでいく。
取り込むのは意外と簡単で、自分が「魔力を吸い込みたい!」と思って集中すれば勝手に魔力回路が魔力を外から吸収するからな。
しかしだれの制御下にない自然の魔力と違い、誰かの制御下にある魔力を奪い取るのは思った以上に大変だった。
まず、体に入った瞬間に激辛を食べたかの様に全身が熱くなり、汗がブワっと噴き出してくる。
更には身体が勝手に魔力を危険物だと反応して押し出すので、うまく制御権を奪えない。
「……う、ぅぅぅ……くっ……んっ……!」
チラリと横のシンシア様を見てみると、俺と同じ様に座禅を組み、苦しげな表情で時折苦しそうに喘いでいるものの、俺とは違って少しずつ魔力を自分のものにしていた。
流石乙女ゲーの悪役で火魔法の扱いが天才的なシルフレア家のご令嬢だ。
モブの俺とは違いあっという間に言われた事を成し遂げている。
俺も頑張らないとな。
シンシア様には負けていられないと、俺は目を閉じて魔力を再び取り込んだ。
———30分後。
「ふぅぅぅぅ……」
俺はシンシア様に遅れる事20分、やっとフレイヤの火の魔力の制御権を奪う事に成功した。
そのお陰で今は先程の様に暑くない。
どうやら【炎竜王の祝福】が働いたらしく、フレイヤもこんなに早く自身の魔力を取り込まれたことに驚いていた。
因みにシンシア様は既に完璧に魔力を扱っている
それどころか自分で火の魔力を周囲に放出までしていた。
此処までの火の魔力の才能は、フレイヤ曰く人外級らしい。
俺は人類最高峰だって。
……これが才能の差か。
この世界で初めて才能の壁を思い知った。
まぁこの程度でへこたれたりはしないけど。
伊達に何百回も死んだ訳じゃないからな。
「それでは次は———」
こうして俺たちの火魔法講座は夜まで続いた。
—————————————————————————
主人公とシンシアの年齢を6歳に変えました。
違和感ありすぎとの指摘がありましたので。
まぁ主人公はまだしもシンシアは少々大人びていすぎた気もしないでもない。
☆とフォローよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます