第6話 愛の終わり

最後の恋にしようと思っていた。

先輩は私のことを大事にしてくれたし、お互いに両想いだったから絶対上手くいくと思っていた。

あの時、正直に事実を打ち明ければ良かったのか。

それとも一生嘘をつき続ければ良かったのだろうか。

いや、結局どっちを選んでいても上手くいかなかったと思う。

先輩が就活に失敗し、おかしくなってしまった時点でだめだったんだ。

ピアノも弾かない、ブラック企業、低収入、融通が効かない。

よくよく考え直すと、先輩の魅力的なところなど一つもなくなっていた。

先輩の優しいところ、私を大切にしてくれるところ、一途なところ――私はそれらがすごく好きだった。

でもそれらはいつの間にか、重すぎる愛へと変貌してしまった。

――どうして、こうなっちゃったんだろう。

考えても考えても答えはやっぱり出なかった。

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