第2話 例えば君が

次の日、僕は不思議な気持ちで起きた。この世界に対しての期待と恐怖。一度睡眠をとったからか、昨日よりも夢じゃなく現実だということが実感できる。

そんなことを思いながら床から出ようとすると、僕の腕に何かがしがみついている。布団をめくってみると、見覚えのない女の子が隣にいた。その瞬間僕は昨日あった出来事を事細かに思い出そうとするが、この女の子に関する記憶がない。何かやらかしたのではないのか?と焦っているときに

「おはようございます、マイマスター。気分はどうでしょうか?」

ますたー?何を言っているのか把握できないでいると、その女の子は僕の疑問に察したのか、

「昨晩のことを覚えていらっしゃいますか?」

「昨晩?僕は一人で寝ていたはずだけど?」

そう僕が返すと、女の子は僕の状況を把握したらしく、

「私はあなたの加護の一部より生み出されたサポートサーヴァント。名を”エスパー”ちなみに語源はマスターの世界のフランス語らしいです。」

エスパー…希望、どういう意図の名前なんだろうか。ってそんなことよりもいまこの子、「加護の一部」って言ってなかったか?加護ってなん種類でもつくのだろうか。そんな疑問が頭を過ぎる。これに関しては後で僕の担当の師団長に聞いてみよう。

そうのんきに考えていると扉がノックされた。

「転移者様、今大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですよ。」

「失礼します。」

そう言って入ってきたのは如何にもメイドって感じの女性。その女性は今日の予定を転移者全員に教えているらしい。そのメイドが言うには、今日各自の所属する師団を伝えるらしい。情報を伝え終わった彼女は

「こちらお召し物です。お着替えが完了しましたら、お呼びください。私は扉の外で待っておりますので。」

と言って部屋を出ていった。その後着替えようとしたが、

「エスパー……そんなまじまじ見られると着替えにくいんだけど。」

「失礼しました。マスターそれでは私は一時精霊核状態になります。」

と言うと彼女が眩く光きれいな結晶になった。僕がその結晶を持ち上げると、

『マスター、その結晶を首元まで近づけてみてください。』

彼女の言うとおりに首元まで近づけると、チョーカーみたいに変形し、僕の首に巻き付いた。

『私を呼びたいときは、”サモン”と唱えてくれれば召喚できます。」

状況が一気に進展しすぎて理解が追い付かないがそういうものなのだろうと納得した。その後急いで身支度をして、外にいるメイドさんに声をかけた。

メイドさんは食堂に僕たち転移者を案内し、食事を取るように言い、その後大広間まで僕たちを案内してくれた。

その大広間には黒いローブをきた人物が並んでいた。たぶん彼らが師団長だろう。

「よく来たな!ひよっこ共!おれぁ宮廷師団隊長総括!イリュシオンだ!」

「同じく第2団隊長、ハーシェルです。」

「私は第3団隊長のエルマーニュだよ~!エルちゃんってよんでね★」

「ブリやがって、キメェ。」

「キモイってひどいなぁ、リュー。」

「俺は第4団隊長リューカーだ。このぶりっ子みたいに呼んだら殺す。」

この人たちが師団長、エスパーの石が強く反応している。まるで警戒しているみたいだ。たぶん強い魔力みたいなのを感じているからなのかな?

そんな心配事をしていると、国王が

「さぁ、師団長諸君!彼らの中から気に入った子たちを選んでくれ!その子らが君たちの実質的な弟子になる。」

「じゃぁ、そこのお前とお前。うちに来い、最強にしてやる。」

そう第一師団隊長に選ばれたのは昨日のきれいな女の子と僕だ。やった!とか思っていると気づいたら訓練場みたいなところにいた。

「いきなりで悪いが早速腕試しだ。同時に来い!物理でも魔力でも何でもありだ。」

いきなり師団長との手合わせになってしまった。今この情況がとても困るが、それ以上に今後が心配だ。

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未定 戌李 天音 @niboshi0727

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