第7話


 毎晩、ユナはヤマタのところにいた。毎日のように体を繋げることは、ユナにとっても都合が良かった。

 それが終わってもすぐに帰されるということもなく、朝までヤマタはユナを可愛がり抱き締めて眠った。まるで恋人同士のように。


 今日も終わった後、ヤマタはのんびりとユナの髪を撫でたり口付けをしたりと甘い時間を過ごしていた。


「ユナ、セイは最近何をしているのですか?」

「えっ?」


 大きく心臓が跳ねたが、ユナは小さく首を傾げた。

 ヤマタにはユナが動揺していることなどお見通しで、ユナもまた自身が隠し事や嘘が苦手なことを自覚していた。


「最近、セイと一緒にいないので分かりません」


 ユナは正直に答えた。嘘を突き通す自信がないのなら、知らなければ良い。答えようもないのだから。そのために、最近はセイを避けてきたのだから。

 ユナの答えにヤマタは可笑しそうに笑った後、普段は見せない獰猛な瞳でユナを見た。


「ユナ。化け物の私に抱かれる気分はどうですか? 見えているのでしょう?」


 目を見開いたまま何も答えられないユナにヤマタは再び微笑みを浮かべ、言葉を重ねた。ユナからの返事などどうでも良かったのだ。


「私はね、セイのことをとても気に入っているのです。すぐに食べてしまいたいほどに。けれど、セイがいない生活は不便でならないと思いませんか? 刺激もなくて毎日がつまらないものにもなるのでしょうね」


 そう言ったヤマタはユナの髪を撫でた。ヤマタに腕枕をしてもらっているユナは、何も知らない人から見たら仲の良い恋人同士に見えるだろう。


「だから、考えたんです。セイには私の子を産んでもらおうと。そして、ユナ、カイ、リツをセイの目の前で惨殺して食べようとね。そうしたら、セイはどうなるのでしょうね?」


 恍惚の表情を浮かべたヤマタにユナは震えた。震えるユナの背をヤマタは撫で、キスをする。


「逃げられるわけがないのに、足掻く姿が憐れで可愛くて踏みにじりたくなるんですよ。ねぇ、ユナ。セイはまだまだ私を楽しませてくれそうですか?」


 そう問いかけたヤマタであったが、ユナの返事など求めていなかった。代わりにもう一度ユナの体を求めた。

 恐怖するユナは、セイほどではないもののヤマタにとって可愛らしいもので、朝まで離すことはなかった。



 翌日、起きるとユナはヤマタの部屋に一人であった。日もずいぶんと高くなっていて、寝過ごしたことをユナは悟る。


「セイ、絶対に私が守るからね」


 その声は誰の耳に届くこともなく、部屋にはすぐに静寂が訪れた。


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